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こだわりのスペース

家の両面から降り注ぐ心地よい光と風

那覇市の住宅密集地に建つKさん宅は、コンクリート打ち放しのクールな外観が印象的な住まいです。奥さまが友人の建築士と熟議を重ねて、約7年の歳月をかけて理想のプランを実現しました。1階が駐車場、2・3階が住居のピロティ形式の建物で、 親子6人がそれぞれに居心地のよさを感じながら、快適な暮らしを楽しんでいます。

こんな家!

☆ 理想の新居イメージを、時間をかけてプランに盛り込む

 ご主人の両親が営むアパートの一室で身を寄せ合い、「いつかはマイホームを」との思いを温めてきたKさん一家。当時は駐車場にしていた将来の住宅用地を横目に見ながら、奥さまは「大容量の冷蔵庫を堂々と置けて、居間の真ん中で卓球ができる」ような明るい家を、ご主人は「趣味の釣り道具を室内で思う存分扱える」広々とした家を、長年夢見てきました。

 家づくりの準備・計画自体は、早い段階から取りかかっていました。「家を建てるときは知り合いに頼みたい」と常々考えていた奥さまが、旧友の建築士と再会し、具体的な相談を始めたのはかれこれ7年前。さして急がず、時宜を計りながら話し合いを重ね、ゆっくりとプランを練り上げていきました。
 先の理想の新居像を目指し、Kさんご夫妻が希望したのは、「仕上げは内外装ともにコンクリート打ち放しにすること、インテリアは大好きな黒を基調にしつつ木の雰囲気を盛り込むこと、LDKは細かく仕切らず一覧性のある空間にすること」など。間取りの詳細については、ご主人は「たくさんの人が集まれるように、室内と合わせてベランダや屋上も活用したい。バスルームとトイレはゆったりとくつろげるように」とだけ伝え、あとは奥さまに一任。また周囲に建物がひしめく住環境の中で、駐車スペースを最大限に確保するために、駐車場の上階に住居スペースを充てたピロティ形式を採用しました。
 途中、4人目の子どもの出産などが挟まり、ひと段落着いたあとにいよいよ工事がスタート。年季が入りすぎてついには自動開閉するようになった小型冷蔵庫の扉をガムテープで押さえながら、隣地にマイホームが出来上がっていく様子を、毎日ワクワクした気分で眺めていました。

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☆ 風通し爽やかなリビングが、家族全員のくつろぎの場に

 

 一昨年7月に完成した待望の新居は、建坪約29坪の3階建て。唯一接道する南西の前面道路に向けて、無垢のコンクリートの躯体が大きくせり出し、数字以上のボリュームを感じさせます。
 駐車場奥の玄関から中に入ると、正面のガラス窓の外に水盤がきらめく、ホテルライクな空間が現れます。上階へ続く階段は、蹴込みをなくしたストリップタイプで光と視線をよく通し、開放感を創出。2階LDK、主寝室と子ども室をまとめた3階を経て屋上まで、明るい吹き抜けになっています。
 LDKは南北に細長いホールのような空間で、フロアを隅々まで一望できる場所にキッチンを配置。かねてからの念願がかない、キッチンにはブラックの大型冷蔵庫が堂々と置かれ、目の前のダイニングは、「実際に卓球台を広げて、家族で遊ぶことも多いですよ」というだけの広さがあります。またLDKに沿って設けたウッドデッキは、何の気兼ねもなく釣り道具を扱える絶好のスペース。全体がアルミルーバーで覆われており、外からの視線を遮りつつ、光と風を室内へ招く機能的な役割も果たしています。
 大開口が連続したLDKとは対極にある、階段や水回り側にも換気窓が至る所に設けられ、「窓を開ければ家中に風が通り、真夏でも本当に涼しかったですね」と奥さま。子どもたちはそんな居心地のよさを敏感に察知したのか、「3階の自室はほとんど寝るだけで、いつも2階で過ごしています」とのこと。とりわけ階段とリビングの境界に置かれた小上がり風の畳間は、寝転んでテレビを見たり、腰掛けて読書やおしゃべりをしたり、快適な居場所になっています。
「新居のすべてが気に入っています」とほほ笑むKさん。家族全員で家に寄り添うように、新たな生活を楽しんでいます。

☆ デッキと水盤を緩衝帯に活用。三方を閉じた環境で光と風を導く

 

家の両面から降り注ぐ心地よい光と風

 多彩な新居イメージを抱いていたKさんの要望を、整理してまとめ上げる作業が中心になりました。途中、出産や土地の権利関係の手続きなどで何度も計画が中断しましたが、プランの作成自体はスムーズでした。

 全般的に最も意識したのは、プライバシーに配慮しつつ家全体の風通しを図り開放感を生かすこと。計画地は隣地の建物が三方から迫る住宅密集地にあり、接道する前面道路も幅員が狭く拡幅が困難な、湿気がこもりやすい環境でした。そのためまずは唯一開いた南西面に大きく開口部を取り、光と風の入り口を確保。一方で風の出口となる対極の北東面には、家と同じ高さの壁を立てて隣地からの視線を完全に遮りながらも、壁と躯体の間に吹き抜けや水盤を挟むことで、十分な採光と通風を得やすい環境を整えました。
 また躯体の平面形状は長方形をベースに、敷地に沿って2・3階にウッドデッキとバルコニーをそれぞれ設置し、外部環境を室内に取り込む上での緩衝空間にしました。特に生活の中心となる2階は、ウッドデッキに面して掃き出し窓を連続させ、室内外の一体感を演出しています。この開放感をさらに延長し、居間と階段との仕切りをルーバーにしたり、階段自体をスチールで軽やかに造作しました。その効果として、断絶しがちな上下階に一体感をもたらしました。

 間取りは家事効率を第一に考え、キッチン脇に水回りを集約。3メートルほどの庇(ひさし)に覆われた半戸外のサービスコートを通って、両方向から回遊できる動線を組み立てました。また収納をできるだけ多く設けたいとの要望に応え、3階の各居室にクロゼットを付属させるだけではなく、階段の踊り場やキッチン背面、1階の階段下などのスペースを無駄なく活用しました。

 Kさんとは今回の仕事を通じて再び交流が始まり、完成までの7年間、Kさんがさまざまな生活場面で我慢を重ねる姿に接してきたので、新居に移ってからの生き生きとした表情を見ると、私自身の喜びもひとしおです。公私両面において、感慨深い作品になりました。

建築・建設会社

  • ■ 建築設計 空(sora)
  • ■ 那覇市長田1-12-32-402
  • ■ 鉢嶺元一
  • ■ 098-833-0013
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