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安らぎの庭「しゃんぐりら」を訪ねて

5年前、久高島を望む森の中に、「終の棲家を建てた安和さん夫妻。定年を
迎えた後も、森から元気をもらって、種々の社会活動にも取り組んでいます。

こんな家!

☆ 庭造りから始まった「終の棲家」

安和さんと「かふう」のおつきあいは、広大な庭を紙面で紹介させていただいたのが始まりです(「あこがれのお庭を訪ねて」〈2006年12月1日発行号掲載〉)。

 安和さんは、2000年に南城市の高台に約3千坪の原野を購入し、奥さまと二人で、こつこつと自然の地形を生かした庭づくりに取り組みました。その庭を安和さんは「しゃんぐりら」と命名。「地上の楽園」を意味する、この名を選んだのは、自らの名にちなみ「安らぎ和みの庭」にしたいという願いを込めてのこと。
 それから2年後には、「しゃんぐりら」の一角に自宅兼ギャラリーを建てて、安和さん夫妻は楽園の住人となりました。
 当時、安和さんは、「これからの人生、花の好きな人と過ごし、情報を交換し合い、絶えず進化していきたい。日がな一日遊べる空間を造るのが私の夢です。自然を独り占めしてはいけません。どうぞ遊びにいらしてください」と話を結んでいました。

 「しゃんぐりら」を再訪し、「こんな家に住みたい」で自宅兼ギャラリーを紹介させていただいたのは、翌2007年のことでした(3月16日発行号掲載)。タイトルは「庭づくりから始まった『終の棲家』」。
 家づくりで、安和さんが何よりこだわったのは、「しゃんぐりら」の自然景観を壊さないことでした。森には、コンクリートより木の方が馴染むだろうということで、木造住宅を建てることにしたそうです。夫婦二人の住まいなので、生活空間はコンパクトにまとめ、好きで集めてきた美術品を飾るギャラリーのスペースを広くとりました。リビングの大きな窓の外にはぬれ縁が設けられ、その先には芝生の庭が広がります。そして、はるか洋上の久高島を借景に取り入れています。開放感にあふれたリビングから、庭の景を眺めていると、時が経つのを忘れてしまいそうでした。

 あれから10年、久しぶりに
「しゃんぐりら」を訪ねてみました。

 入口から自宅近くの駐車場まで、緑の中を坂道が続く風景は、以前と変わりませんが、それとは別に入ってすぐのところに新たに駐車場を発見。前回の取材時、安和さんは「お庭を見にきてくれる人が多くて、こんなに楽しいことはありません。できたら、自由にお茶を飲んでいただけるように、カフェも作ってみたい」と夢を語っていましたが、
7年前に、その夢を実現。自宅兼ギャラリーに寄り添うように、木造のカフェ「森のテラス」が姿を見せています。新しい駐車場は、カフェのお客さまのために整備されたものです。

 カフェは前面ガラス張りの屋内の席からも、外に張りだしたデッキテラスの席からも、下方の斜面に広がる庭の風景が楽しめるようになっていて、抜群の眺めの良さです。
 
 また、奥さまがお茶をたしなまれているということもあって、カフェと住宅の裏地にひっそりと小さな茶室も造られています。

 カフェの経営は息子さん任せで、安和さんはもっぱら庭の手入れに専念しています。「店の前に自然の木々を残していて、それを切り倒せば海や久高島がもっとよく見えるのですが、しかし私はそれよりも、自然の森の中のゆったりした雰囲気が出せればいいなと思っています」と安和さん。眼下の斜面に広がる芝庭は木々の緑と琉球石灰岩をメインにデザインされていて、あちらこちらでサクラやカオウ、カエンボクなど、季節の花々が華やぎを添えています。

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☆ 表情豊かな庭を歩く

 

カフェで飲食を楽しみながら、庭を眺めて過ごしたあとは、ぜひ「しゃんぐりら」の散策に出かけてみましょう。

 11年前に、安和さんに案内してもらったときの「しゃんぐりら」は三つのゾーンに分かれていました。 カフェから見えるゆるやかな傾斜地の庭は、芝生が植えられ、イングリッシュガーデンの趣きです。住宅兼ギャラリーの玄関側には、人工池が造られ、水辺の風景が楽しめるようになっています。もう一つは「しゃんぐりら」の高所一帯に残した自然林です。そこは自然の地形や植生を生かしながら、歩きやすいように整備されていて、のんびり森林浴が楽しめます。

 カフェから傾斜地の庭へはデッキ伝いに向かうことができます。

 11年前、最初に訪れたときは、敷地下方のところは、まだ手つかずの状態でした。今では、そこも雑木やツタが払われ、散策が楽しめるように整備されています。そればかりかちょうど崖下のような場所にあって、カフェからは目に入らない辺りまで、庭が広がっていることを知ってびっくり。

「この土地は、新しく購入したところで、もとは竹林だった。琉球石灰岩がところどころ顔を出していて、大和の庭園の趣きがあるでしょう。通好みかも知れませんが、私はとても気に入っています。岩と岩の間に、サクラを植えたけれど、なかなか花が見られなかった。それが今年、初めて咲いたんですよ」と嬉しそうに話します。

竹林を切り開いてみると、そこがもとは田んぼだったことがわかり、かつて水路だったと思われる場所にオクラレルカを植えたのだそう。初夏になれば、一帯は涼しげな紫の花で彩られることでしょう。

☆ 庭造りがライフワーク

 

道を戻り、水辺の庭を通り、いよいよ森林浴を楽しみに、ガジュマルやクロヨナ、オオムラサキシキブなど、木々の茂みに踏み入ることに。小道の先に階段が設けられていたり、順路が示されていたり、歩きやすいように整備されているので安心です。岩の裂け目やくぼみなどに、シーサーや壺など、置物が配されているのも楽しく、安和さんの遊び心がそこかしこで弾けています。途中、人が一人やっと通れるほどの切通しがあったり、宴会でも楽しめそうな開放地があったり。道々、安和さんは、オオタニワタリやホウビカンジュの若芽を摘み集め、「さっとゆでて食べると、おいしいよ」と手渡してくれました。思わぬ山の幸を手に、ほくほく顔で帰路につきました。

 
 南城市では、毎年春と秋に「憩いのオープンガーデン」を開催していますが、安和さんも、その趣旨に賛同し、初回から参加しています。

「私はもともとガーデン好きですが、私の庭を見た人が、ああ自分も造ってみようとか、あるいは何かヒントになるようなものを見つけてくれたりしたら嬉しいですね。肉体の栄養だけじゃなくて、精神の栄養と言うのかな、そういうものを求める社会に向かっているのではないかと思います」
 
 安和さんは定年後、NPOを立ち上げて、国際技術協力事業に取り組んでいます。海外に出かける機会も多く、忙しい日々を送っていますが、そのパワフルな活動の源は庭にこそあるのでしょう。

「特に用のない日は、朝6時に起きて健康維持のためウオーキングをするようにしています。そのあとは庭に出て、草刈り、せん定、芝刈りなど、やることはたくさんあります。庭を回るのが、なによりの楽しみで、そうするとちょっとした変化にも敏感になり、サクラが一輪咲いても、すぐに気が付くんですよ」と、庭への愛情たっぷりに話します。
 
 日々、進化し続ける、安らぎと和みの庭「しゃんぐりら」。安和さんのぶれない、庭づくりへの思いに心打たれるとともに、森の自然からパワーをもらった再訪となりました。

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