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父の介助を優先したバリアフリーの家

聴覚障害のあるOさんは、大正生まれの父親と2人で暮らすために、本島東海岸沿いの、のどかな集落に住まいを建てました。
介助のしやすさを最優先に考えた、シンプルなバリアフリーの家です。

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☆ 車いすでの生活にも対応できる家づくり

家を建てる前、Oさんは神奈川県、お父さまは埼玉県と、離ればなれで暮らしていました。Oさんは、ひとり暮らしのお父さまを気遣って頻繁に会いに行っていましたが、毎年冬になると体調を崩して入退院の繰り返し。風邪が重症化したのをきっかけに「これ以上ひとりにしておけない」と同居を決意しました。
 当初Oさんは、自身の生活拠点がある神奈川県内で中古住宅を探しました。ところが予算内で介助しやすそうな物件が見つからず、「思い切って暖かいところに家を建てよう」と方向転換。温暖な沖縄に新居を構えることにしました。
 Oさんの家づくりのテーマは、「車いすを利用する父親が快適に過ごせる家」です。また、自身がアメリカで10年近く暮らしていた経験から、「靴を履いたままで生活できること」や、「自分でメンテナンスができるシンプルなつくり」なども希望しました。
 そして沖縄県出身の友人から得た「台風、湿気、西日に注意!」とのアドバイスを参考にして、本島東海岸沿いの集落の中にある土地を購入。設計の依頼先は、インターネットを駆使して探し、「介助のしやすい家」を手がけているところに絞り込みました。
 「私は木造住宅になじみがあったことから、問い合わせの際、軽い気持ちで木造も可能かどうかを質問したら、『木造にこだわるのであれば、ほかの設計事務所を紹介しますよ』と建築士さんに言われました。その言葉から仕事に対するプライドを感じ、その時に依頼を決めました」と振り返ります。

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☆ お互いを気遣える安心感のある暮らし

 

白を基調にした建物のシャープなラインが特徴的なOさん宅。内部はキッチンを中心に、LDKと寝室、水回りで構成されたシンプルな空間です。コンクリートブロックの目地や配管を生かした内・外装仕上げが施され、外人住宅のような雰囲気を醸し出しています。
 扉をつけたのは浴室とトイレのみ。寝室とLDKは小さな壁で仕切っているだけなので、聴覚障害のあるOさんもお父さまへの目配りがしやすく、在宅での仕事にも安心して打ち込めます。また、お父さまが杖をついて歩いたり車いすを利用しても、スムーズに移動できるように、随所に手すりが取り付けられているほか、駐車場から寝室へ直接入れる動線も確保。段差はほとんどありません。
 お父さまは、この家を初めて見た時に「うまく設計してもらったね」と、とても感動していたそうです。Oさんは「その言葉を聞いて、今までの苦労が報われました」と目を細めます。お父さまは、天国へ旅立つまでの約半年間、この家でとても穏やかに暮らしたそうです。
 「父はいつもLDKの大きな窓の先にある軒下で、外を眺めてくつろいでいました。トイレへも車いすを使って自力で行き来していたんですよ。もっと長生きして欲しかったですけどね…」とお父さまを偲ぶOさん。
 そして、なかなか手が付けられずにいた前庭に視線を移し、「庭づくりもそろそろ始めないとね」と明るく話します。この庭が緑や花でいっぱいになるのを誰よりも心待ちにしているのは、天国のお父さまなのかもしれません。

☆ 介助やメンテに配慮した住環境を提案。

Oさん宅のプランは、「高齢で介助が必要なお父さまが快適に暮らせること」が重要なテーマ。また、海外生活の経験がある施主は、住宅のメンテナンスに対する意識が高く、「塗装やちょっとした修繕が自分でできる家」を要望していましたので、間取りや仕上げを極力シンプルにしたプランを提案しました。

 敷地は、ひな壇状に造成された昔ながらの住宅地にあります。プランニングに当たっては、コストを抑えるために、できるだけ敷地の状態を生かしました。擁壁を作らず、建物自体が土留めの役割を果たすよう建物を敷地の奥に配置。これにより、敷地前方に大きなスペースをつくることができました。そして敷地の高低差を利用して、前面道路と駐車場との間を緩やかなスロープにしています。

 室内・外観とも、構造体である補強コンクリートブロックの目地や配管をそのまま見せる形で仕上げ、床材は店舗などにも使われる素材を採用。施主が希望していた「靴を履いたままの生活」も実現しています。

 お互いの気配を伝え合えるようLDKと寝室との間には扉を設けず、ワンルーム的な空間としました。キッチンはカウンターテーブルとしても使える大きなアイランド型を特注で製作。建築工事の際に土台をコンクリートブロックでつくり、その上にステンレス天板を載せた存在感のある仕上がりです。

 ほかにも、開口部をバランスよく配置して家の中を風が通り抜けるようにしたり、屋上に遮熱防水塗料を塗布。沖縄の暑い夏を快適に過ごせる住環境がつくり出せたと思います。

 本土在住の方からの依頼ということもあり、普段はメールやテレビ電話を活用して頻繁にやりとりをし、予算内とのバランスを図りながら、調査・検討・再提案を慎重に進めていきました。また、契約や棟上げといった重要な場面では沖縄に来ていただき、その時は沖縄県障害者福祉協会から派遣された手話通訳の方の力を借りて対応しました。

 聴覚障害というハンディキャップを乗り越えて、お父さまのために見知らぬ土地での家づくりに取り組まれた施主から、私自身も多くのことを学ばせていただきました。

建設データ

家族構成:1人
所在地:南城市
設計:有限会社協永プラン
   hacototo design room
敷地面積:258.6㎡(78.2坪)
建築面積:96.6㎡(29.2坪)
延床面積:88.7㎡(26.8坪)
用途地域:未指定地域
構  造:補強コンクリートブロック造
完成時期:2013年10月

●建築/大正建設
●電気/野原電気設備
●水道/インター設備
●キッチン/大里総合建材

建築・建設会社

  • ■ 有限会社協永プラン
  • ■ 那覇市寄宮2-29-3 4階
  • ■ 屋慶名 啓市
  • ■ 098-834-7609
  • ■ http://kyouei-plan.com

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