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年中行事

沖縄の紫微鑾駕(シビランカ)について

 住宅を新築しようと、建築会社と打ち合わせ中です。父が「新築には『シランカ』を置きなさい」と横から口を挟むのですが、設計士さんも私も意味が分からず困惑しています。父は何が言いたいのでしょうか? (Kさん)

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☆ 紫微鑾駕(しびらんか)とその由来

「『シランカ』を知らんか?」。(笑) すみません、おやじギャグでした。(汗) Kさん、お父様のアドバイスは、実に意義深いですね。『シランカ』ではなく多分、『シビランカ』のことをおっしゃっているのだと思います。漢字では、紫微鑾駕(しびらんか)と書きます。紫微鑾駕とは、道教(どうきょう)の紫微大帝(しびたいてい・正式名称:中天北極紫微太皇大帝(ちゅうてんほっきょくしびたこうたいてい)という、万物(ばんぶつ)を司(つかさど)る紫微宮(しびぐう)の長神(おさしん・代表的な神)が、天より自らを鑾駕(らんか)という御神輿(おみこし)に乗じさせ、人々の住宅をめぐり多くの幸せを与えるとする、『天官賜福紫微鑾駕思想(てんかんしふくしびらんかしそう)』に由来します。この天官賜福紫微鑾駕(てんかんしふくしびらんか)を略して、紫微鑾駕といいます。その他の説には、紫微鑾駕とは火を食べる女性の諱(いみな)とし、紫微鑾駕の文字を住宅に安置すると、火災に遇わないとする説と、頑丈な建物(けんぶつ)を数多く施工した大工の名棟梁(めいとうりょう)の諱(いみな)とし、紫微鑾駕の文字を住宅に安置すると、除災招福(じょさいしょうふく)に恵まれるとする説などがあります。
昔、沖縄の木造住宅では、紫微鑾駕、または、天官賜福紫微鑾駕を木札(きふだ)に扁額(へんがく・横書き)、または、縦書きし、天井裏の母屋(もや)と桁(けた)の交わる付近にある、棟木(むなぎ)という屋根裏の最上段の材木に取り付けていました。直接、棟木に筆と墨で記載していたということも耳にしたことがあります。一方で、沖縄の建築様式は、戦後、大きく様変わりし、昨今ではコンクリート住宅が主流の時代を迎えています。ンニアギ(棟上げ)とういう上棟式(じょうとうしき)も、実際には、材木を棟に上げるという工程はなくなりつつあるようです。

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☆ お父さまのアドバイスに感謝して

 

 さて、Kさんからの相談に戻りますが、現在、お考え中の住宅様式が、木造住宅の場合、お父様のアドバイスの通り、棟木に紫微鑾駕を安置することは、温故知新として、とても素晴らしいことだと思います。また、コンクリート住宅の場合でも、設計士さんと打ち合わせして、天井裏などのしかるべき場所に、紫微鑾駕を安置することは、私が担当する起工式でも、多く耳にする事例です。天井裏ではなく、掛け軸として、床の間に安置したり、扁額として、イチバンジャー(一番座)に掲げている住宅も拝見したことがあります。写真の建築会社では、紫微鑾駕の木札を、施工代表から施主に手渡しすることにより、沖縄の建築儀礼を畏敬(いけい)しています。デンサー節に『うとぅや やーぬ なかばしら(男性は住宅の大黒柱)』という歌詞があるのは有名ですね。この大黒柱は、ご存知のようにそれぞれの柱に支えられています。ご家族の柱・ご親族の柱。今回、住宅を新築することは、Kさんが大黒柱として、身近なご意見に感謝の気持ちを持つ機会でもあります。Kさんの住宅新築は、お父様やご家家・ご親族のグスージ(お祝い)でもあります。今まで、『なかばしら』として頑張られてきた経験豊富なお父様からのご意見は、Kさんが、今後、『なかばしら』として住宅を新築する、とても貴重なアドバイスとなることでしょう。お父様のアドバイスに感謝をしつつ、ご一緒に設計士さんとの打ち合わせができると素晴らしいですね。
 一見、悩ましいように思われる異なるアドバイスも、その分、深い内容になることが多いものです。両方に耳を傾けられていることも、自身の心の広さをあらわしており、素晴らしい経験となったことでしょう。同じ様なことで悩まれる方々へのカラハーイ(羅針盤)として、この貴重な経験を語り継いであげてください。

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