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沖縄的暮らし

年中行事

分骨・返骨について

誰にも内緒の話です。32年前、オヤジの骨をポケットに入れてしまいました。今年、墓を直します。その時、一緒に壺に返していいでしょうか?長男が体をバラバラにしてしまったので、オヤジのタタリが怖いです。 (Y村・Tさん)

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☆ 分骨・合骨とは

Tさん、お父さんのことをとても尊敬されているのですね。誰にも内緒ですか・・・・・・、わかりました。沖縄のしきたりでは、どんな解決策があるのか、一緒に考えていきましょう。「体をバラバラにしてしまった」と言えば、確かにそうですね。でも、専門的には、分骨という立派な作法ですので、32年前のことで自分自身を責める必要はありません。

 その昔、印度(いんど)にゴータマ・ブッダという方がおられました。日本では、お釈迦さまと呼ばれています。ゴータマ・ブッダが亡くなられたとき、遺骨はサンスクリット語(印度の古語)の『sarira(シャリア・舎利〈しゃり〉=亡骸(なきがら))という語源から、人々は『仏舎利(ぶっしゃり)=ブッダの遺骨』と言うようになりました。『仏舎利』は、お釈迦さまを慕う弟子・部族などにより、やがて8分割→10分割と分骨されていきます。以来、人々もお釈迦さまの『仏舎利』の分骨にならい、形見分(かたみわ)けという意味から、大切な身内の遺骨を分骨するようになったといいます。ちなみに、遺骨と同じ白色の白米のことも、サンスクリット語では『sari(シャリ・舎利)』といいます。日本では、寿司飯のことを粋な呼び方で『しゃり』といいますよね。  
 さて、今回の相談ですが、今年は、合骨(あいこつ)する絶好のタイミングだと思います。合骨とは、合葬(がっそう)ともいい、別々の遺骨を一緒にすることをいいます。  

 合骨の種類には、ミートゥンダーカーミー(夫婦合葬)、ウヤヌフチュクル(親の懐)、カーミーゲーシ(骨壺返し)などがあります。
『ミートゥンダーカーミー』とは、夫婦の遺骨を一緒にすることをいいます。「ミートゥンダー カーミーヌ チビティーチ(夫婦はグソー(仏の世界)でも一緒)」という格言から、『グソーヌ ニービチ(仏の世界の結婚式)』ともいいます。 『ウヤヌフチュクル』とは、親子の遺骨を一緒にすることをいいます。数え年7歳未満(13歳未満の地域もある)のユースー(幼少)の子どもを、お母さんの胎内に返す『シシダシ(血筋正し)』という作法から(お父さんの懐に返す地域もある)、『ウヤゲーシ(親返し)』とも呼ばれます。 『カーミーゲーシ』とは、故人のカーミー(骨壺)に分骨した遺骨をウケーシ(お返し)することをいいます。

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☆ 合骨の手順

 

今回のTさんの場合は、カーミーゲーシに該当します。カーミーゲーシも、ミートゥンダーカーミー・ウヤヌフチュクルなどと同じ手順ですので、以下を参考にしていただければと思います。
【合骨の手順】
1◆お墓を修理する当日、ウサギムン(お供え物)を準備して、ご住職の読経など、専門家のご供養を賜ります。
2◆お墓の内部を修理する場合、ヒラチ(蓋石〈ふたいし〉)をバール・握りこぶしなどで3回ノックして、ゆっくりと開門します。
3◆各カーミーを外に出して、お墓のウナー(御庭)にウンチケー(安置)します。
4◆酒・海水・水などを使用して、カーミーをシンクチ(洗骨)します。
5◆お父さんのカーミーの蓋を開けて、チュブルブニ(頭蓋骨)もシンクチします。
6◆火葬の場合、チュブルブニが最上段にウンチケーされているはずですので、シンクチの途中、チュブルブニの下に分骨した(ポケットに入れた)遺骨を大切にウケーシします。 7◆シンクチが終了したら、各カーミーにサン(グシチ)を抱かせて、お墓の修理が完成するまで、施工業者に一任します。※4〜6は、お墓の修理が完了後、再度、納骨するときでも可能です。  

 Tさん、今回は、合骨の好条件がそろっています。お父さんは、32年前にお亡くなりですから、今年はウワイスーコー(終わり焼香)の三十三回忌。これ以降は、シンクチが可能な期間です。また、今年はグングヮチターチャー(旧暦閏〈うるう〉五月)のユンヂチ(閏月)でもあります。お墓の修理も、全島で多く行われるはずです。しかも、Tさんは長男とのことですから、お墓の修理の依頼者、施主でもあるでしょう。いずれも、シンクチのとき・お墓の修理のとき、施主の判断としてお父さんのカーミーを開けること、遺骨をウケーシすることが可能になります。お父さんの遺骨は、多分、お葬式の収骨のとき、ポケットに入れたのでしょうか?
 沖縄では、分骨の習慣が一般的でないので、タタリとかを耳にし、今日まで心苦しかったのでしょう。しかし、タタリには『多々あり』というプラス発想の考え方もあります。お父さんの遺骨を通じて、『多々ある』経験をされたTさんを、グソーのお父さんは長男である後継者として、心強く思われていることでしょう

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