NEWS

建築資材

かふうWEB > メンテナンス > 建築資材 > 外構 > ガルバリウム鋼板の3倍超の耐食性。進化した金属素材

リフォーム

ガルバリウム鋼板の3倍超の耐食性。進化した金属素材

「エスジーエル」は外装用建材・金属屋根素材としてなじみ深いガルバリウム鋼板のめっき組成を改良し、耐食性を高めた金属素材。従来は難しかった沿岸部での施工や軒下への採用が見込めるなど、今後の展開が注目される商品です。

メンテナンス

☆ エスジーエルの誕生。沖縄県内でも採用が進む

建材用薄板大手の「日鉄住金鋼板」が開発した「エスジーエル」は、従来のガルバリウム鋼板の耐食性を3倍超に強化した、新しい金属素材です。同社では、1982年に国内で初めてガルバリウム鋼板の生産を手がけ(当時の社名は大同鋼板)、96年から「次世代型ガルバリウム鋼板」の開発に着手。めっき組成の改良により耐食性を高めた「エスジーエル」の商品構想を固め、性能評価と試作を繰り返し、2013年に商用生産をスタートしました。ガルバリウム鋼板が腐食する過酷な条件下でも性能が持続することから、沖縄県内でも採用が進み、商業施設や店舗を中心に施工実績を伸ばしています。

 知識面でも技術面でも、「エスジーエル」を理解する上でベースになるのが、ガルバリウム鋼板です。おさらいしておくと、ガルバリウム鋼板とは、地鉄(素地の鉄材)の表面に、アルミニウム55%、亜鉛43・4%、シリコン1・6%から成るめっき層を施した、アルミ亜鉛合金めっき鋼板です。耐食性が高くコストパフォーマンスに優れ、現在、国内の外装用建材・金属屋根材市場で圧倒的なシェアを占めています。
 ガルバリウム鋼板のめっき層を拡大して見ると、アルミニウム含有率の高いアルミリッチ相と亜鉛含有率の高い亜鉛リッチ相が三次元的に絡み合った網目構造になっています。防食のメカニズムとしては、容積比にしてアルミニウム80%を有しているため、最初にメッキ表層に不動態被膜が形成され、その後、亜鉛リッチ相から亜鉛が溶出し、地鉄をさびから防ぎます(自己犠牲防食作用)。次いで網目状の空隙をアルミ系酸化生成物が充填される(自己修復作用)ことで、腐食の進行を抑制します。
 こうした化学反応の連鎖により、従来のトタン(亜鉛めっき鋼板)と比べれば、ガルバリウム鋼板ははるかに高い耐久性を発揮します。それでも全国的に普及が進み、多様な条件下で施工されるようになると、幾つかの弱点があることが分かってきました。それを補うように開発されたのが、新素材のエスジーエルです。

続きを見る

☆ マグネシウムの働きで性能向上。各種試験でも実力を証明

 

組成比較をした場合、エスジーエルがガルバリウム鋼板と異なるのは、めっき成分中に新たにマグネシウムが添加されていることです。このマグネシウムは、めっき層を構成する亜鉛リッチ相の中に共存しており、腐食が始まると、マグネシウムの効果で亜鉛の酸化被膜がより水に溶け難い緻密な保護被膜となり、腐食を抑制します。なお、マグネシウムの含有率は、度重なる検証の結果から、めっきの耐食性向上に最適なバランスとされる「2%」に調整されています(アルミニウム55%、マグネシウム2%、シリコン1・6%、残部亜鉛)。
 エスジーエルの実力は、各種試験や曝露評価によっても実証されています。例えば現実環境に近いとされる「複合サイクル試験」では、ガルバリウム鋼板の3倍超の耐食性を示し、常時塩水を噴霧して腐食を促進する「塩水噴霧試験」でも、同じくはるかに優れた性能が確認されました。

☆ ガルバリウムの弱点を克服。沿岸部での使用も可能に

 

以上のようなメカニズムにより、ガルバリウム鋼板が抱えていた次のような弱点の克服が可能になりました。

❶切断端部・傷部の耐食性向上
 製造工程上、また実際の使用上、鋼板を必要なサイズにカットすれば、切断端部はめっき層のない、地鉄が露出した状態になります。同様に、外部から何らかの衝撃が加わり、めっき層がはがれることもあります。それでも前述の通り、亜鉛の犠牲防食作用とアルミの不動態皮膜保護作用・自己修復作用により、腐食の進行は抑制されますが、めっき層に覆われた部分に比べれば耐食性が劣り、さびが発生しやすくなります。
 その点エスジーエルは、マグネシウムの働きで、地鉄露出部への保護皮膜形成を促進し、皮膜の緻密化・安定化に寄与。切断端部・傷部を強力に保護します。

❷高湿潤環境での使用
 ガルバリウム鋼板は連続した腐食環境に置かれると、亜鉛リッチ相の溶出スピードがアルミの自己修復化を上回り、腐食しやすいという問題があります。そのため沿岸部などの高湿潤環境には不適な素材として、使用が控えられてきました。
 しかしエスジーエルでは、マグネシウムの働きで亜鉛リッチ相により緻密な保護被膜が形成されるため、アルミ系酸化生成物の充填(じゅうてん)を助け、最大限の保護作用を発揮することができます。塩害地での曝露試験でも、明確な優位性が示されました。

❸軒下環境での使用
 軒下や庇(ひさし)、出窓の下など雨水がかかりにくい場所は、酸性雨や自動車の排ガスに起因する腐食促進物質が堆積し、白さびが発生しやすくなります。耐久性に直接的な影響はないといわれていますが、これも曝露評価により、エスジーエルの優位性を確認。外観維持にも貢献します。

 エスジーエルの価格は、加工費を含めても、ガルバリウム鋼板の約1・2倍。加工性に関しては、ガルバリウム鋼板と同等の扱い方ができ、同じJIS規格(JIS G 3321)を取得しているため、従来の成型機をそのまま使用することが可能です。防耐火認定なども共通で、設計時の利便性に優れています。
 また無塗装品に加え、エスジーエルを基材とした塗装鋼板もラインアップ。汎用カラー鋼板「ニスクカラーSGL」、フッ素樹脂鋼板「ニスクフロンSGL」の販売が昨夏から始まりました。用途の幅も一段と広がり、ユーザーの多様なニーズに応えられる商品構成商品構成になりました。

取材協力

■ 日鉄住金鋼板株式会社 九州支店

福岡市博多区店屋町5-18 博多NSビル4F

092-281-0051(代表)

http://www.nisc-s.co.jp/

メンテナンスに戻る >