続・気になる土地の評価 File.1 県庁所在地の地価比較(宅地)
週刊かふう2019年7月5日号に掲載された内容です。
File.1 県庁所在地の地価比較(宅地)
今回から、切り口を変えてスタートする本連載。今回と次回は、沖縄県と全国の地価を比較していきます。
桜坂より県庁方面を望む。住宅地の平均地価ランキングに政令指定都市が並ぶなか、那覇市は第7位につけた
主要都市を抑えて地価上昇率1位の沖縄
前回までの連載でも何度かご紹介したとおり、沖縄県の地価上昇率は全国1位です。住宅地、商業地、工業地、全用途のいずれにおいても平成31年地価公示における地価上昇率は全国1位。オリンピックに沸く東京よりも沖縄の地価の上昇率は高いのです。
しかし、価格という点からすると沖縄県の地価はどうなのでしょうか?
もちろん、地価の高さが東京や大阪にはかなわないのは読者の皆様もご承知だと思います。
今回は、住宅地について、沖縄の地価が全国でどのくらいの位置にいるのかを見てみたいと思います。
全国との比較においてはいくつか指標があるのですが、ここでは、我々不動産鑑定士が毎年行っている地価公示という業務によって公示される地価をベースにお話したいと思います。
実は、地価を厳密に比較するのは難しい面があります。
本来、調査の条件を統一して全部の不動産の価格を調べ、統計的な分析を加えないときちんとした比較はできないのですが、この地価公示という業務で調べている地点についての平均価格をもって簡易的に並べることは可能です。ですから、その性格上、厳密なものではないので、参考程度でお考えください。
全国の住宅地の地価比較では那覇市が7位に
ここでは、沖縄県の県庁所在地である那覇市を取り上げてみましょう。他県においても県庁所在地の住宅地公示地価ベースで比較します。
気になるランキングは上表のとおり。
第6位までは、なんとなく理解できますね。しかし、いやぁ、驚きです。那覇市は第7位です。福岡市よりも神戸市よりも広島市よりも上です。
ちなみに、地価公示住宅地の平均単価が10万円/㎡を超える県庁所在地は上記のTOP10に、第11位の千葉市(11万8500円/㎡)、第12位の静岡市(11万4400円/㎡)を加えた12の県庁所在地しかありません。それ以外の住宅地の平均単価は10万円/㎡を切るのです。
人口規模や平均県民所得などを考えると、沖縄県で、特に那覇市で不動産を所有するというのは、実はすごいことなんですね。
次回は、商業地について沖縄県と全国の地価を比較していきます。