続・気になる土地の評価 File.9 地価下落率ランキング(住宅地)
週刊かふう2020年3月6日号に掲載された内容です。
File.9 地価下落率ランキング(住宅地)
今回と次回は沖縄県で地価が下がったところはどこ? というテーマでお話したいと思います。今回は県内の住宅地で地価が下がったところを見てみましょう。
地価下落ランキングの上位に3カ所がランクインした久米島。地価が下がった要因を検証してみると、その地域が抱える問題が浮き彫りになる
沖縄の住宅地で地価が下落した地域とは?
不動産市況が好調な沖縄県(コロナウィルスの猛威で今後はどうなるかわかりませんが)でも、地価が下落している地域が存在します。
全国的には下落している地域が多いのですが、地価上昇率が全国1位である沖縄県で、地価が下落している地域はどんなところなのでしょうか。
昨年9月に発表された都道府県地価調査の結果からランキング形式で発表したいと思います。
地価下落の要因が示す将来の不安
ランキングでは、久米島の住宅地が1位となりました。前年価格が1万5000円/㎡でしたので、800円/㎡の下落ということになります。この地点の土地面積は558㎡ですので、総額では44万円強の下落ということになります。
第10位の粟国は、昨年が2020円/㎡でしたので、20円/㎡の下落です。土地面積は479㎡ですから、総額で1万円弱の下落になります。
地価が下落しているのはある意味残念なことではありますが、今回の下落地点は1㎡あたりの単価がもともと安かったので、総額でみると大きな下落にはなっていません。
しかし、下落した要因を考察すると、憂慮すべき事柄が見えてきます。
観光客が増加している沖縄県ですが、観光客需要をうまくとりこめていなかったり、人口の減少により宅地需要が減っていたり、さらには、宅地需要が減っているのに、宅地開発を行って供給過剰になっていたりと、地価の下落はわずかでもこのような状況は将来的な不安要素を暗示しているように思えます。
このような状況が続けば、例えば人口の減少により税収が減って、インフラの維持や更新が難しくなっていくことも考えられますし、公共交通の撤退や地域コミュニティの衰退だって十分に考えられます。
実際に地域コミュニティの衰退については、すでに空き家対策が全国的な問題となっています。
これらの対策は行政のみならず、我々専門家含め県民のみんなで考えていく必要があると思います。
次回は地価が下がった商業地についてお話します。