続・気になる土地の評価 File.12 バブル期との地価比較(住宅地編)
週刊かふう2020年6月5日号に掲載された内容です。
File.12 バブル期との地価比較(住宅地編)
今回からは、バブルの時の地価と今の地価を比較していきます。住宅地編と商業地編の2回に分けてお話します。
最近の地価高騰もバブル期には及ばない
今回からは、バブルの時の地価と今の地価を比較してみたいと思います。
バブルの頃の土地価格はどれくらいだったのでしょうか?
バブル崩壊後、沖縄県もまた、長い経済不況に入るのですが、どれくらいで地価が復活したのか?についてもお話したいと思います。今回は住宅地についてみてみます。
地価公示のデータに基づくグラフをみてみますと、平成4年のバブル崩壊後も、わずかながら沖縄県(住宅地)は地価の上昇がみられました。
バブル絶頂期、沖縄県で一番地価が高い地点(住宅地)は、地価公示のデータによると那覇市泊1丁目の地点で当時48万円/㎡でした。
残念ながら、この地点は現在の地価公示では調査対象となっていませんが、近い地点では泊2丁目の地点(那覇-7)があり、今年3月発表の地価公示では、26万4000円/㎡と公示されています。
直接比較はできませんが、両地点の地域性や個別的な特徴を考慮したとしても、今年の地価はバブルの頃にはまだまだ及ばないな、という印象ですね。
ちなみに平成4年ごろは、新都心地区は土地区画整理事業が始まったばかりで、まだなにもない状況でしたから、地価公示や地価調査の地点はありません。
近年、上昇し続けていた沖縄の地価。コロナ禍の後、一体どのような動きをみせるのだろうか
リーマン以後タイムラグなく地価に影響
では、地価の復活についてはどうでしょうか? 考察してみましょう。
沖縄県の場合、バブル崩壊後も極めてわずかですが地価は上昇していたのです。
このころは今と違い、沖縄県の地価動向は、内地の地価動向から数年遅れることが通常でした。
そしてこのグラフのとおり、沖縄県の住宅地の地価は長い下落の時期が続きます。平成8年に下落に転じてから、平成25年まで、実に18年も地価の下落が続いたのです。
注意が必要なのは、途中リーマンショックによる大不況の影響やSARSなどの影響もあり、必ずしもバブル崩壊の影響だけでここまで下落が続いたとは言い切れないのですが、結果として非常に長い期間、地価は下落し続けました。
沖縄の地価変動において、特徴的なことはリーマンショックのときで、この影響による地価下落はほぼタイムラグがありませんでした。
バブル崩壊のときは、わずかですが地価の上昇がみられ、多少のタイムラグがあったのですが、リーマンショックの影響はすぐに現れました。このころから沖縄の地価動向は、東京を中心とした大都市圏の地価動向に近い変動を示すようになります。
いずれにしても、経済的に非常に大きな影響を受けると地価は下落しました。
コロナ後の地価変動に注目
さて、コロナ禍のもと、現段階では今後の地価動向はどうなるかわかりません。
バブル崩壊後のように多少のタイムラグが発生し、わずかながらも地価上昇を示した後に下落するのか、あるいはリーマンショックの時のように、すぐに地価に影響が出てくるのか、あるいは地価はまだまだ上昇しつづけるのか。それどころか、まったく想定できない動きをするかもしれません。
今後の地価動向についての指標としては、公益社団法人沖縄県不動産鑑定士協会が毎年発表している不動産DIがあります。近々発表されますので、まずはこれに注目したいと思います。
次回は、バブル期との比較、商業地編をお話したいと思います。