どうする住宅資金 家計の金融行動に関する世論調査 前編
初心者にとって、マイホーム資金の調達は、想像することがなかなか難しい課題です。
調査結果から住宅ローンに関する項目をチェックしましょう。
週刊かふう2020年9月25日号に掲載された内容です。
昨年の調査結果をチェックしよう
780号(令和2年9月11日発行)と781号(同年9月18日発行)の当コーナーは、国土交通省住宅局が発表した「令和元年度住宅市場動向調査」をもとに、前年度にマイホームを取得した世帯主の年齢や世帯年収、購入資金総額、自己資金率、年間返済額、住宅ローンの負担感などを紹介しました。
今号と次号は、金融広報中央委員会が毎年行っている「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」から2019年の結果を中心に、マイホーム資金計画の参考となるデータに焦点を絞って確認しましょう。
なお、この調査の実施期間は2019年6月14日〜7月23日です。全国から3222件の回答を得ています(表1)。
持ち家住宅率、沖縄県は44.4%
表2は、現在の住居の状況を尋ねたものです。
「持ち家あり」と答えた世帯は全体の75.9%(前年75.2%)、「持ち家なし」と答えた世帯は22.8%(前年23.4%)です。前年に比べると、持ち家住宅率は微増しました。
ちなみに、5年ごとに総務省統計局が実施する「住宅・土地統計調査」の平成30年の結果では、沖縄県の持ち家住宅率は全国一低い44.4%で、昭和63年から一貫して低下し続けているとのこと。なお全国平均は61.2%、沖縄県に次いで2番目に低い東京都は45.0%となっています。
余談となりますがこの調査結果では、「空き家率」が最も低い県は埼玉県10.2%、次いで沖縄県10.4%、第3位に東京都10.6%となっています。
沖縄県の持ち家率の背景
当コーナーで土地の価格に関するテーマを取り上げるたびに説明していますが、沖縄県にはもともと住宅地に適した平地が多くありません。さらに離島県であるため、近県に代替え地を求めることができません。
また、県外からの移住などによる人口増加や観光業の振興によって事業用の土地取得も盛んに行われています。
これらの事情が需要を高めており、土地の価格が下降しにくいという特徴があります。
全国に比べて平均所得が低い反面、一般的に木造住宅よりも建築費用が高い鉄筋コンクリート造の住宅が多いこと、離島県であるため建築資材の輸送料などが膨らみがちなことも、沖縄県でマイホームを取得するハードルを高くしている要因といわれています。
将来も取得する予定なし、約3割
表3は、まだマイホームを取得していない世帯に、今後の取得予定時期を尋ねたものです。
「将来にわたりマイホームを取得する考えはない」が30.7%(前年30.9%)で微減ですが、直近の5年間でみると増える傾向にあります。
次いで「マイホームの取得については目下のところ考えていない」27.2%(前年29.8%)が2位となりました。
「親からの相続等によるので、いつになるかわからない」が17.9%(前年17.4%)となっています。
取得予定時期は3〜10年以内
「マイホームを取得する予定があると答えた世帯(相続等による取得を除く)における取得予定の時期は、「今後3年以内」が最も多く7.6%(前年5.5%)、次いで「5年以内」の6.0%(前年5.7%)、「10年以内」の4.2%(前年5.4%)と続いています。
前年に比べると、「3年以内と答えた世帯が増加しています。
必要資金は3225万円
図1は、マイホーム取得に必要な資金の総額を尋ねた結果です。動向を見るため、過去5年間のデータを抜き出してグラフ化しました。
2019年調査の必要資金総額の平均は3225万円で、2018年調査の必要資金総額の平均は3231万円とほぼ同額ですが、その内訳は自己資金が減少し、借入金が増加する結果となっています。
そのため総額に占める自己資金率は30.0%で、前年の37.2%に比べて減少しています。
780号(令和2年9月11日発行)でみたように、国土交通省の「令和2年度住宅市場動向調査」における自己資金率の全国平均は、以下のようになっています。
◆注文住宅(土地購入資金は含まず)27.2%
◆分譲住宅(戸建て)26.5%
◆分譲住宅(集合)39.4%
◆中古住宅(戸建て)39.1%
◆中古住宅(集合)43.5%
これらの調査結果から、取得資金の27〜44%程度が自己資金率の目安といえそうです。