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気になる土地の評価 特別版 平成30年度の県内地価

気になる土地の評価 特別版 平成30年度の県内地価

週刊かふう2018年9月28日号に掲載された内容です。

特別版 平成30年度の県内地価

5年連続の地価上昇で35年振りに伸び率で全国トップを記録。19日に発表された基準地価を基に気になる不動産市況を解説いたします。

気になる土地の評価 特別版 平成30年度の県内地価

浦添市西洲と宜野湾市宇地泊までを結ぶ西海岸道路(臨港道路浦添線-浦添北道路)が3月18日に開通。那覇へのアクセス向上と慢性的な国道58号の渋滞が緩和された

気になる土地の評価 特別版 平成30年度の県内地価

県内唯一の軌道交通であるゆいレール沿線も地価評価のポイント。駅近くには商業施設も充実し人気の住宅エリア

土地価格の仕組み

 9月18日に今年7月1日時点の県内地価が県土地対策課から発表されました。
 これは、県が毎年7月1日時点における県下の基準地の標準価格を調査し、その結果を公表するもので、国が行う地価公示(価格判定基準日1月1日)とあわせて一般の取引価格の指標となるものです。
 この地価の判定には、私たち不動産鑑定士が大きく関わってきます。全41市町村、279の基準地を22人の不動産鑑定士が手分けして鑑定評価し、その結果を審査・調整し、最終的な正常価格(合理的な市場で形成される適正な価格)として公表されます。1平方メートル当たりの価格で表し、建物や定着物が存在する場合でもこれらが無いものとした、すなわち更地での価格になります。
 算定も単に鑑定評価を平均したものではなく正常価格が大原則です。そのため私たち不動産鑑定士の鑑定評価も正常価格を求めるために行われるのです。また、これが最高値や最安値を示す価格でないことも十分理解していただきたいと思います。

気になる土地の評価 特別版 平成30年度の県内地価

住宅の地価で1位になった那覇市天久2丁目周辺は、上昇率でも1位を記録した

ここ数年の傾向

 前振りが長くなりましたが、それでは気になる数字を見ていきましょう。
 住宅地、商業地、工業地などの全用途(林地を除く)で前年比5.0%上昇し、上昇幅は全国トップの数字です。国土交通省によると沖縄の伸びが全国1位になるのは1983年以来2度目のこと。沖縄の地価は5年連続で上昇し伸び率は毎年拡大し今年の上昇幅はこの5年で最大となりました。
 これをみての感想を聞かれると、去年と傾向はほとんど同じというのが正直なところです。土地区画整理事業や道路整備で利便性が向上したエリアの地価上昇が顕著。これはここ数年の流れですが、2極化もその大きな現れといえます。
 意外なことですが、上昇に転じる前の2013年までは20年連続しての下落でした。下落が始まった1994年の翌年には関西淡路大震災(1995年1月)があり、2001年には同時多発テロ、2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災と世界や国内を揺るがす事件が続きましたから地価が上がる要素が無かったともいえるでしょう。不動産市場が情勢や景気に大きく左右されることをあらためて痛感させられますが、不動産周期は世界恐慌や地震などの天災の影響をのぞけばガツンと変わるわけではありませんから、このまま地価は上昇を続けていくというのが私の見解です。

気になる土地の評価 特別版 平成30年度の県内地価

道路整備で那覇へのアクセスが改善された八重瀬町屋宜原は、伸び率3位と人気の住宅地

要因も複雑化する

 人口や観光客数の増加、雇用情勢の改善など、県内景気の拡大を背景に、住宅地や商業地の需要が高い状況が続いているということが地価上昇の大きな要因と言えますが、他にもさまざまな要因が絡み複雑化しています。
 以前は、不動産の情勢も東京から2~3年遅れて沖縄に影響がみられました。しかし今はほぼ東京と同じで進行し、回復するタイミングも同じと、これは他県には見られない傾向です。
 低金利で高い利回りを期待した投資目的の土地売買も増え、値上がりに拍車が掛かっているのも東京と変わりません。転売目的も加わり、その土地の収益性に見合わない高値がついた物件が目立ち始めているのも事実です。
 また、全国的なインバウンドの観光ブームから、住宅地の変動率で1位から3位を独占した北海道同様に沖縄にも海外から熱い視線が注がれ、それに伴い海外資本もかなり入ってきています。国内の企業などを介して不動産取引をするため客層にどのくらい外国人がいるかは不明ですが、取引価格が違うのですぐ分かります。投資目的や海外資本の流入などが、地価の上昇に拍車を掛ける要因となっていることも知っておく必要があるでしょう。

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新しい建物が並ぶ北谷町伊平地区。市町村別の伸び率でも北谷町が1位に輝いた

やはり「今でしょう!」

 地価のお話をしてきましたが、それでも「今は様子を見る」という方もいらっしゃるでしょう。しかし、半年1年後にも同じ価格で購入できるでしょうか? 答えは「NO」です。数年前から事あるごとに「買うなら、今でしょう」と言ってきましたが、やはり早いことにこしたことはないかと思います。
 とは言え、地価上昇のご時世ですから、人気の那覇新都心あたりだと地価も坪あたり100万円以上もするため、ここで新築戸建て住宅を手に入れようとするとその価格はすごいことになります。例えば、新都心地区の地区計画最低限度150㎡の土地を買って、建物を建てた場合の費用は、総額で7000万円から8000万円になります。建築費の上昇というのも背景にありますが、新都心地区は相当な高級住宅街ですね。ちなみに7000万円といえば、物件の状況や階層にもよりますが東京都品川区のタワーマンションが買える金額です。
 なるべく住宅費用を安く抑えたいなら工期が短い木造住宅といった選択肢もあります。それでも難しいならマンションの購入を考えてみてもよいでしょう。更に中古マンションという選択もありますが、修繕積立金がいくら積み上がっているかの確認は必ず行ってください。老朽化しても修繕ができなければ財産とは言えません。
 また、人気がなくそこまで地価も上がっていない所もあります。ただし、地価が上がらないのは理由があります。それだけ売ることも難しくなりますから、一生そこを離れないくらいの気持ちで購入を考えてください。
 逆に、「今は売り時期か?」の質問ですが、天災や世界恐慌などが起きない限りまだまだ地価の上昇は続くと予想されるので、急いで売らなくても地価が下がる心配は少ないでしょう。

気になる土地の評価 特別版 平成30年度の県内地価

立地を考えればマンションという選択も人気。新築だけでなく中古の物件も上昇の兆し

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