気になる土地の評価 File.14 宮古島と石垣島以外の離島の不動産市況
週刊かふう2019年6月7日号に掲載された内容です。
File.14 宮古島と石垣島以外の離島の不動産市況
全国的にも注目される沖縄県の不動産市況。今回は、宮古島と石垣島以外の離島の地価動向についてみていきます。
東北楽天イーグルスのキャンプ地としても知られる久米島。イーフビーチ周辺のリゾートホテルや、名所旧跡、スパ施設、はての浜など観光資源も多くありますが、宅地・商業地ともに下落基調にあります
久米島ほか離島の多くは下落傾向
不動産市況が好調な沖縄ですが、離島によっては地価の動向が全く異なる状況になっていると言えるでしょう。
前回お話しした宮古島や石垣島は地域に程度の差こそあっても、基本的には上昇基調です。ところが、それ以外の離島では地価が下落しているところもあります。
たとえば、久米島です。地価公示では久米島は公示区域外なので、公示地点はありませんが、沖縄県が発表した昨年の地価調査によれば、久米島の住宅地は全地点で下落でした。商業地は選定替えといって、調査地点が変更になりましたので、変動率は出てきませんでしたが、おそらく商業地も下落基調であると推測されます。
そのほかにも伊江島や粟国島、渡名喜島、多良間島の一部などで下落している離島が存在します。
観光需要を取り込めない離島の問題
観光が好調な沖縄県で、これら離島の地価が下落してしまうのはなぜでしょうか?
ひとつには、宅地は余っている状況なのに、さらに宅地開発が行われて供給過多になっているということがあります。
もうひとつは、交通アクセスの問題です。先に挙げた久米島以外の離島は通常、交通手段としては船だけになります。しかし、船でのアクセスは受け入れられる人数に限界があります。そのため、観光需要をうまく取り込むことが難しい背景があります。
また、受け入れるためのインフラが十分ではないといった事情もあるでしょう。このインフラの問題はかなり深刻で、観光客が増加したことによる飲み水の確保やごみの増加、医療施設などの不足などにより、離島の住民の生活自体に影響が出てしまう場合もあり、これが常態化することを危惧しているという声も聞かれます。
インフラ整備は非常にお金がかかる案件でもあり、維持するのも簡単ではありません。那覇市などの都市部では当たり前のインフラであっても、離島では必ずしも当たり前ではないのです。観光が好調だということを素直に喜べない状況もあるという認識が必要です。
ますます観光が活気づいている竹富島は地価が上昇
竹富島以外の離島の地価動向は不透明
一方で、竹富島などは地価の上昇が顕著です。景勝地など眺望が良好な地域において、高額な取引が散見されます。
南大東島や北大東島、伊是名や伊平屋などは横ばいで推移しています。変動要因があまりないので、地価の変動はありませんが、これらの離島も今後の地価動向は不透明な部分があります。もちろん、地価上昇の可能性もありますが、土地取引においては下落するリスクも存在しています。
このように、離島によって地価の状況はさまざまです。
今回で地域別の土地の評価は終了です。次回からは、「続・気になる土地の評価」として傾向や要件ごとの不動産市況を解説します。