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歩いて見つけた 石獅子探訪記 その3

歩いて見つけた 石獅子探訪記 その3

各地に鎮座する村落獅子を訪ね歩き、調査を続ける若山夫妻。石獅子をめぐるレポートを毎月お届けします。

週刊かふう2016年3月4日号に掲載された内容です。

歩いて見つけた 石獅子探訪記 その3

その3 南風原町の巻
■集落の伝承をもつ個性的な獅子

 南風原町には現在、12の字(あざ)のうち、本部に1体、照屋に2体、兼城に1体と、兼城の区長が作った石獅子があります。戦前は本部に2体あったそうですが、消失してしまったようです。現存している石獅子たちは、本島の中でも特に個性的な形で、集落の生活が垣間見える、さまざまな伝承を持っています。
 今回は、本部と照屋の集落の関係や、区長さんが作った石獅子を紹介します。

■対立していた!? 本部と照屋

 本部と照屋は隣接する集落です。本部の石獅子は、南南西の方向にある八重瀬に対するフーチゲーシ(邪鬼返し)の目的で作られたと伝えられています。しかし、南南西となると、必然的に照屋の方を向いてしまいます。照屋の人たちは、以前から水源をめぐってよく思っていなかった本部の人が、自分たちの集落に故意に石獅子を向けたのではないかと思い、照屋も、その後すぐに2体の石獅子を本部に向けて安置したという伝承があります。
 私は長らく沖縄に住み、いろいろなお話をうかがっていますが、集落同士はとても仲がよいところが多いです。もめごとを解消するのは石獅子に任せ、対立している集落と仲良く助け合って生活するという、先人の知恵だったのかもしれないと思います。
 いやー、しかし本部の石獅子の形といったら、これは獅子でなく鬼ですよね。大きな目玉で「ミーグルグル」と言いたいところですが、そんなかわいいものではありません。牙もしっかりと残っており、なぜか背びれか尻尾のようなものが…。このような形態の石獅子は本部にしかなく、必見です。
 一方、照屋の石獅子は、タテガミのない石獅子としてはスタンダードな形ですが、こんな胴長な石獅子はここだけですね。南星中学校近くの高台にも同じような形態の石獅子がありますが、石獅子を作る立場である私たち「de-jin」から見ると、どうも作者は異なるようです。

歩いて見つけた 石獅子探訪記 その3

■区長さんが作っちゃった!兼城の石獅子

 兼城には、もともと集落の西と東に1体ずつ、2体の石獅子がありました。東の石獅子は沖縄戦で消失しましたが、2009年に当時の区長さん(当時66歳)が手作りで復元したというのです。2004年から区のお年寄りに聞き取り調査をして、休日などを利用してコツコツと2年かけて完成させたそうです。復元された石獅子は、西の石獅子と比べると非常に大きく、いや…、県内でも相当大きめです。区長さんの努力と思いをぜひ見に行ってみてくださいね。
 また西の石獅子は、隣接している那覇市上間の返しとして安置されていますが、理由はいまだに不明です。この石獅子を初めて見たとき、かなりの衝撃を受けました。とにかく表情がすごくて、夢に出てきそうです。彫刻的には、喜怒哀楽は作りやすい表情ですが、それ以外の何とも言えない表情をしており、怖い、おぞましい、石なのに顔色が悪いというか…。おそらく非常に大きいパワーを持っているに違いないと、勝手に推測しています。

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