開放感を追求した 海を眺めるための家
- DATA
- 所在地:読谷村
- 家族構成:夫婦、子ども1人
- 設計:プラソ建築設計事務所
(担当/小林志弘) - 敷地面積:232.79㎡(約70.42坪)
- 建築面積:104.04㎡(約31.47坪)
- 延床面積:119.17㎡(約36.05坪)
- 用途地域:第一種低層住居専用地域
- 構造:鉄筋コンクリート造+鉄骨造
- 完成時期:2018年3月
- 建築:株式会社沖秀建設
- 電気:有限会社三友電水工事社
- 水道:有限会社名設
- キッチン:パナソニック株式会社
眺望が開けた高台に建つTさん宅は、「とにかく海がきれいに見えること」が最大のコンセプト。
さらなる見晴らしの良さを求めて住居スペースを2階に置き、海側を全面ガラス張りにして眼下の景色を取り込んだ、開放感と清潔感にあふれた住まいです。
建物全体をピクチャーウインドーにして、
海の景色を室内に取り込む
海が見えること、は家づくりの大前提。Tさんが求めたのは、「海が一望できて居心地よく暮らせる家を建てること」。視界を遮るものがほとんどなく、どこまでも開放感を極めた空間で、刻々と移り変わる海の色を眺めながら毎日の生活を送りたい。そのためにはまず希望がかなうだけの眺望が開けた土地を見つける必要があり、建築的にも相応の工夫が要ることは容易に想像できました。
具体的に構想を練り始めたのは5年ほど前。土地探しと並行して建築の相談にも取りかかり、「デザイン性に優れた作品が多く、何よりどんな質問にも的確な回答を返してくれて信頼が置ける」と感じた建築士に設計を依頼。頻繁に意見交換しながら候補地の選定を進め、高台から南側に本島西海岸を見渡す現在の土地を購入しました。
「無理に急がず、納得のいく家づくりをしたいから」と打ち合わせに費やした期間は約2年。Tさんが抱いていたイメージや要望はできるだけ細かく建築士に伝えて、予算内で建築可能な、思い描いていた通りのプランにまとめてもらいました。
もうワンランク上の眺望を求めて住居スペースを2階に置き、1階をピロティにしたのは必然的なこと。東西にやや細長い敷地形状に沿って居室を並べて、移動するだけの廊下のような空間はつくらず限られた空間を最大限に有効に活用し、生活の中心となるLDKはできるだけ大きく広く、個室や水回りはコンパクトに。そして室内のどこからでも景色を楽しめるように、海を望む南側は全面ガラス張りにしました。窓の高さは床から天井まで目いっぱい確保し、構造的にも視界の妨げになるものが極力露出しないように工夫してもらったことで、建物全体がピクチャーウインドーのように海の眺めを切り取り、その美しさがより際立って見えます。
眺望を意識して内装をコーディネート。
昼と夜で異なった趣を楽しむ
インテリアを選ぶ基準も、開放感を損ねず「海映え」するような色・素材を最優先。ベースカラーは明るく広々とした印象を保つために白で整えつつ、例えば建具は南面の窓と同様に、天井高いっぱいのドアをウオールナットの突き板で造作し、床材には反射を抑えたマットな質感のタイルを施工しました。テレビ背面の琉球石灰岩は「単調な壁では物足りない。何かワンポイントを加えたい」と考えていたときに、空港で見たデザインをヒントに取り入れたもの。台形状にカットした石材を積み上げて、高級感漂うアクセントの効いた空間に仕立てました。
新居が完成して間もなく2年たちますが、住み心地は申し分なし。開放感あふれるLDKとは対照的に水回りは機能性を追求し、洗濯・乾燥・片付けの一連の作業が労なく済むように動線をコンパクトに集約。また2階は段差がなくバリアフリーになっているため、「ロボット掃除機が毎日大活躍してくれています」。仕事へ行く前にタイマーをセットするだけで、家中が常に清潔に保たれます。
海の景色は毎日見ても、見飽きることはありません。晴れた日のコバルトブルーに輝く美しさは格別で、白い床タイルとの対比が際立つ様はまるでビーチサイドから海を眺めているかのよう。一方では思いがけない発見もあり、「月明かりに照らされた海はとても神秘的で、夜でもこんなにも明るかったなんて。海岸線沿いに広がる夜景も見渡せて、お祭りの時期はあちこちで打ち上がる花火も楽しめます」。昼も夜も、家で過ごすこと自体が生活の質の豊かさにつながっています。