クール工法で 夏涼しく、冬暖かい コンクリート造の家
- DATA
- 所在地:那覇市
- 家族構成:夫婦、子ども4人
- 設計:株式会社新洋建設事業部(担当/上原邦広)
- 敷地面積:593.20㎡(179.43坪)
- 建築面積:115.54㎡(34.95坪)
- 延床面積:289.13㎡(87.46坪)
- 構造:鉄筋コンクリート造り3階建て
- 用途地域:第一種低層住居専用地域
- 完成時期:2019年6月
- 建築:株式会社新洋建設事業部(担当/門口豊)
- 電気:當間電工(担当/當間敏夫)
- 水道:金田設備(担当/金田宗和)
- キッチン:タカラスタンダード(担当/黒川旭)
古くからの住宅地にある実家を3世帯住宅に建て替えた上原さん。3階建てのトップフロアを自らの住まいとし、シンプルで居心地のよい生活空間をかたちにしました。
家具とのバランスを考える
ご自身が建築士ということもあり、奥さまから家づくりを一任されたという上原さん。まずは、明るく開放的な住まいにすること。そして、愛着のある古い家具が馴染むような家にしたいと思いました。
「家づくりでは、いつも、そこにどういった家具を置くか、ということを想定して、デザインするようにしています。シンプルに暮らすのが好きなので、家具は増やしたくなかったし、作りつけ家具もいらないかなと思いました」と上原さん。
また、仕事柄、多種類の資材を扱うなかで、お気に入りは自然素材の漆喰(しっくい)とスギの浮造(うづく)り材でした。
「スギの浮造り材は、表面に凹凸のある、ざらざらとし仕上がりが好きで、フローリングに使っています。感触がいいですよ。コンクリートの家ですが、木の風合いを大切にしています」
壁は白い漆喰で仕上げて、木材の色は手持ちの家具に合わせてダークブラウンで統一。フローリングの塗装をあえて薄塗にしたり、天井に化粧梁を渡したり、壁の一部に板材を張るなど、木の香りやぬくもりが感じられる空間に仕上げています。
照明はダウンライトをメインに、ペンダントライトやシーリングライト、スポットライトなど、多彩なタイプのライトを取り入れて、さりげなく空間ごとの演出を楽しまれています。
外壁と内壁の間に空気の通り道を設けるという、自社独自のクール工法を採用しているので、コンクリートの輻射熱をため込むこともなく、室内はいつも快適で、居心地のよさを実感しています。
ものを増やさず、シンプルに暮らす
間取りはシンプルに、玄関の右手にLDが広がり、そのLDを中心にして、和室と洋室2つ、キッチン、水回りを配置。また、玄関左手に、ちょこんと小さな書斎をつけ足しました。LDからどこへでも行けて、ぐるぐる回れる動線が便利です。
「LDとキッチンに壁を作るかどうか、迷いましたが、閉鎖的にはしたくなかったので、最終的にルーバーを使うことにしました。目隠しとデザイン的効果の両方を兼ねています」
キッチンは壁付きで、奥さまの意見を全面的に取り入れた、ステンレスのオリジナルキッチンです。作業台の下もオープンに仕上げて、業務用のようなシンプルさです。夫婦揃って「ものは置かずにシンプルに」暮らすのがモットーで、ゴミ箱の数もあまり増やさないようにしているそうです。
家族全員のお気に入りは玄関脇に設けた書斎。特に窓に面して設置した小机が末のお子さんのお気に入りの場所で、よくここで過ごしているそうです。この部屋は西日の当たる側にありますが、クール工法のおかげで、ほかの部屋と居心地のよさは変わりません。
フローリングの仕上げには、こだわって「家族全員で取り組みました。スギの浮造り材に渋柿を塗って、乾かしてから、最後に蜜蝋ワックスで仕上げてあります」。柿渋は赤褐色の自然塗料で、防腐・防水効果があります。さらに蜜蝋ワックスを塗ることで、汚れにくく、フローリングの劣化を防いでくれます。
なによりも、居心地のよさを優先し、さりげなくディティールにこだわった空間で、シンプルライフを楽しまれています。