気になる土地の評価 File.9 豊見城市と糸満市の不動産市況
週刊かふう2019年1月18日号に掲載された内容です。
File.9 豊見城市と糸満市の不動産市況
全国的にも注目される沖縄県の不動産市況。今回は、工業地としても注目の豊見城市と糸満市の地価動向についてみていきます。
一区画が大きく自動車ディーラーやレンタカーのモータープールなどの進出が目立つ豊見城市豊崎地区
注目される工業地
豊見城市も糸満市も、沖縄西海岸道路の一部を構成する豊見城道路の供用開始により、那覇市や那覇空港までの時間距離が改善され、その結果、特に工業地でものすごい価格上昇が起きています。
直接、生活とは結びつかない工業地ですから一般の方にはあまりピンとこないでしょうが、豊見城市の豊崎や糸満市の西崎は、現在、非常に注目される工業地域です。豊見城市豊崎には、豊見城(県)9-1の基準地があり、今年の7月時点の地価公示では4万9500円/㎡と前年よりも28.6ポイントの上昇でした。糸満市西崎の糸満(県)9-1でも3万円/㎡で11.1%のかなり高い上昇をみせています。
このような地価上昇の要因には、もちろん豊見城道路の開通もありますが、他と比較した値ごろ感もあるようです。例えば、浦添市の浦添(県)9-1では10万8000円/㎡もしますから、半額ないしは3分の1の価格で購入できる豊見城市や糸満市の工業地はかなりの魅力といえるでしょう。たとえ、物理的な距離が遠くても、那覇市までの時間距離が同じであれば、豊見城市や糸満市に需要が流れるのは当然ですね。沖縄県は工業地の地価上昇率も全国で1位ですが、この豊崎や西崎が工業地の地価をけん引しているといってもいいと思います。
バイパス開通で一気に那覇との時間距離が縮まった糸満市の西海岸(写真提供/糸満市土地開発公社)
時間距離の短縮で住宅地・商業地も上昇
住宅地や商業地でもこの豊見城道路の効果により地価の上昇が顕著になっています。
豊見城(県)5-4は豊崎に所在する商業地ですが、18.8ポイントも上昇しました。宅地では糸満市潮平の糸満(県)-1が、8.8ポイントと高い地価上昇率を示しました。
繰り返しとなりますが、道路インフラが整備されると那覇中心部までの時間距離が短くなり、相対的に割安な地域の地価上昇が顕著になります。
道路整備から見えてくるもの
昨今の沖縄県における地価上昇は、道路インフラの整備がひとつの要因になっています。
車社会の沖縄ではある意味当然なことでしょう。道路インフラの整備状況や将来における道路整備に着目して地域を見ると、将来に向けて資産価値が上がりそうな地域が見えてくるかもしれません。この物理的距離と時間距離のお話は次回にもう少し具体的にお話したいと思います。
次回は南風原町・八重瀬町の不動産市況についてみていきます。