納得! 目からうろこの土地評価 File.5 高く売れる土地の要件②
新たな視点や再確認という観点から不動産市況のポイントを見直してみましょう。今回は高く売れる土地の2回目です。
高くなる土地と安くなってしまう土地、売れない土地の違いを前回とは別の目線で紹介したいと思います。
週刊かふう2024年6月7日号に掲載された内容です。
地価は周辺状況にも影響される
今回のポイントは「地域」です。前回でもちょっとだけ触れておいたのですが気が付きましたか? 最近流行りの伏線をいれてみました。今回はそれを回収したいと思います。
建物や土地についての良い・悪いは比較的わかりやすいですね。角地だったり、二方路地だったり、土地の形状や日当たりなど、そのような要因で土地価格が高くなったり安くなったりというお話をしました。
加えて、道路の幅員が狭いとか、(住宅専用地域でない場合)隣に何が建つかわからない、空き家が壊れて越境しているといった理由で安くなるといったお話もさせていただいたと思います。
これは、買おうとしている土地自体のことではないですよね。そうです、地域(周辺)のお話なのです。
地域の衰退と市場の関係
皆さんは、「限界ニュータウン」という言葉を聞いたことがありますか? 「限界集落」をもじった造語で、地域コミュニティが崩壊してしまったニュータウンのことです。
バブル期には都市の郊外に立派な分譲地が数多く開発されました。道路が広く区画もきれいに整備され、もちろん庭付きで車も2台停められる。
好景気の影響もあってよく売れましたが、今では廃墟のような建物と雑草だらけの空き地に転じています。水道や汚水処理施設も劣化が進み、設備の更新も必要なのに居住者がいないためお金が集まらなく……、もはや地域として成り立たなくなり「限界」に達したということです。
人口減少や都心の便利な地域にタワーマンションができたなどで、郊外の需要が減少したことが大きな要因。結果、このような分譲地は全く売れなくなってしまいました。土地自体に問題はないのに、地域が衰退して、売れない土地が大量発生してしまったのです。
不動産の資産価値はこのように自分が買おうとしている土地の周辺状況にも影響を受けます。そのため、物件だけを見るのではなく、周辺地域がどういう場所なのかを見る必要があります。
次回は具体的に地域をどのように見ればいいかをお話したいと思います。また、近年は自然災害も増えてきましたので、この観点からもお話したいと思います。
道路や商業施設など、周辺環境も地価を左右する大きなポイント
ニュータウン同様に商店街も地域を映す鏡。一世を風靡したコザ銀天街も現在は……