あなたの夢を暮らしを応援する
住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

ウェブマガジン

納得! 目からうろこの土地評価 File.6 不動産鑑定士の支援事業

納得! 目からうろこの土地評価 File.6 不動産鑑定士の支援事業

新たな視点や再確認という観点から不動産市況のポイントを見直してみましょう。今回は台風特集に合わせ、自然災害と不動産の関連性という観点からわれわれ不動産鑑定士の支援事業を紹介いたします。

週刊かふう2024年7月5日号に掲載された内容です。

対岸の火事ではありません

 地震もそうですが、最近は台風や集中豪雨などの自然災害による大きな被害や影響を受けることが頻繁になってきたように思います。あまり考えたくないことですが、読者の皆さんもいつ自然災害に巻き込まれてしまうかわかりません。だからこそ、自分の不動産が影響を受けたとき、どのような支援を受けられるのかを知っておく必要があると思います。

震災の被害で不動産取引が停止⁉

 2011(平成23)年3月11日14時16分、東日本大震災は発生しました。
 この地震と津波の被害は広域にわたり、また原子力発電所事故による放射性物質の拡散などで立ち入りが禁止された地域も存在しました。そのため被災地での不動産の取引は完全に停止しました。鑑定評価が必要な地域においても現地確認ができない、そもそも現地にたどり着くことすらできないという状況でもありましたから、あらゆる不動産が無くなってしまった、壊れてしまった、使えなくなってしまったという状況になったのです。

納得! 目からうろこの土地評価 File.6 不動産鑑定士の支援事業

東日本大震災で被災した街並み。この時点での評価は無いに等しく不動産取引は停止状態

不動産鑑定士が支援する住家被害認定調査

 今年の1月1日に発生した能登半島地震においても悲惨な状況となりました。われわれ不動産鑑定士はこの能登半島地震の被災地における「住家被害認定調査」の支援要請を国土交通省から受けました。

 この住家被害認定調査というのは罹災証明書(りさいしょうめいしょ)を発行するために必要な調査作業です。罹災証明書とは自然災害による建物の被災程度等の内容を証明する書類で自治体による被災証明書となります。この罹災証明書はさまざまな支援を受けるために必要な書類となります。例えば義援金・見舞金給付や融資、保険金の請求手続きなど、被害の復旧に必要な手続きにおいて必要となる書類です。

 罹災証明書発行のための住家被害認定調査は多岐にわたります。例えば、外観調査で
①一見して住家の全部が倒壊している
②層破壊がある
③一見して住家全部が流出、またはずり落ちている
④液状化等により基礎の一辺が全部破壊されている
⑤地盤面に亀裂が発生し、当該亀裂が住家直下を縦断・横断している
といったことがひとつでも該当すればその住家は全壊と認定されます。

また損害の程度により「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」「準半壊」「準半壊に至らない」といった形で認定されます。
もちろん、納得いかない場合には申請により、さらなる調査(第2次調査)も可能です。

 このような調査を通じて罹災証明書の発行を支援するべく、われわれ不動産鑑定士は、全国から被災地に駆けつけます。沖縄県からも数名の不動産鑑定士が、この住家被害認定の支援にのため現地に駆けつけています。
沖縄でも甚大な被害が起きた場合には、この住家被害認定調査によって罹災証明書を発行してもらうことにより支援を受けられますので、覚えておいて損はないと思います。

ただ、このような災害は起きないことを祈りたいですね。

納得! 目からうろこの土地評価 File.6 不動産鑑定士の支援事業

このカテゴリの記事