納得! 目からうろこの土地評価 File.8 ポストコロナの不動産市場⁉
新たな視点から不動産市況のポイントを見直してみましょう。
今回は、コロナ禍が不動産市場にもたらした影響と変化を踏まえ、今後の見通しと留意点を考えてみたいと思います。
週刊かふう2024年9月6日号に掲載された内容です。
最新の不動産指標
7月1日に国税庁から今年の路線価が公表されました。
県内の路線価で最も高かった那覇市久茂地3丁目の国際通りは、1㎡あたり150万円で前年から3.4%上昇しました。最も上昇率が高かった宮古島平良西里の西里大通りは12.5%上昇の13万5000円となり、ほか県内6税務署の最高路線価もすべて上昇しました。
また今年3月に国土交通省から発表された公示地価においても上昇は顕著です。加えて国内外からの入域観光客数も好調に推移していますから、土地需要はますます高まっていくと予測されます。
コロナ禍を振り返る
(公社)沖縄県不動産鑑定士協会が調査している不動産DIによると、令和2年の調査でDI値(景気動向指数:景気の方向性を判定するための指標)はマイナスに転じています。つまりコロナ禍の影響により不動産取引の多くは停滞するという予測でした。
特に地価上昇をけん引してきた県外の不動産プレーヤーの多くが来沖できなくなったことが大きな要因とされていましたが、それでも地価は上昇と言う結果になりました。ちなみに令和3年の都道府県地価調査において下落した市町村は市域においてはゼロで、下がったのは伊江村、座間味村、粟国村、渡名喜村、久米島町、与那国町といった離島のみでした。
一方、商業地は、那覇市、うるま市、恩納村など観光需要減少の影響を直接的に受けた地域は大きく下落しましたが、それでも商業地のマイナスは予想ほど大きくならずに済んだようです。
県内商業地の地価は収益性の高いホテル用地取引の影響を受ける傾向にあります。ホテルや飲食店舗など、コロナの影響により収益性はかなり落ち込みましたが、それでも上昇した市町村は多く、また公的資金の投下等により賃貸関連はある程度下支えされたことも市場が保たれた要因といえるでしょう。
これからの不動産市場はどうなる?
前述の不動産指標が示す通り、地価の上昇は顕著です。ホテル開発も順調に回復しており、土地取引件数も増加傾向にある地域が多く、活発な市況が予想されます。
その中でもトピック的なことといえば、賃貸物件の家賃動向があげられます。具体的には家賃の上昇が大きいです。建築費の高騰や維持管理費がアップしているほか、固定資産税も上がる傾向にありますから、それらが家賃に転嫁せざるをえない状況といえます。
県不動産鑑定士協会が調査している不動産DIも同じような指標を示しています。
一方で、落ち着いているのが、軍用地取引ですね。以前ほどの高倍率で取引されることは少なくなりました。
次の不動産動向に関する指標は近日中に発表される沖縄県地価調査ですが、どのような結果になるのでしょうか? 次回はこの地価調査が発表されていると思いますので、その地価調査を踏まえ、不動産市況を見ていきましょう。
観光客も戻り、賑わいをみせる国際通り