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納得! 目からうろこの土地評価 File.9 不動産指標(標準価格)を読み取る

納得! 目からうろこの土地評価 File.9 不動産指標(標準価格)を読み取る

新たな視点から不動産市況やポイントを考察する本コラム。

今回は、沖縄県から発表された「標準価格」から見えてきた不動産市場の動向について考えてみたいと思います。

週刊かふう2024年10月4日号に掲載された内容です。

令和6年の「標準価格」

 地価調査は都道府県の事業です。県から指名された地価調査鑑定評価委委員が、定められた地点(基準地といいます)の鑑定評価を行い、毎年7月1日時点での基準地1㎡あたりの価格を「標準価格」として公表します。ちなみに県内の基準地は、住宅地193、宅地見込地5、商業地77、工業地5、林地4の合計284地点が設定されています。

 まずは県内地価の変動状況ですが、住宅地が昨年は4・9%でしたが、今年は5・8%で上昇幅が拡大しました。商業地も4・8%から6・1%、工業地も10・0%から10・6%と拡大しています。全国の住宅地平均変動率が0・9%、商業地は2・4%のプラスでしたから、これと比べても沖縄の地価上昇はかなり大きいと言えるでしょう。

納得! 目からうろこの土地評価 File.9 不動産指標(標準価格)を読み取る

世界的なダイビングスポットとして知られる真栄田岬「青の洞窟」

土地需要を押し上げる要因

 特筆は住宅地の変動率で、全国上位10地点のうち7地点で沖縄がランクインしています。全国1位は上昇率29%の恩納村真栄田(恩納⦅県⦆—1)で、トップ10入りした他6地点はいずれも宮古島市の住宅地となりました。残り3地点はすべて北海道で、千歳や富良野が3・5・8位にランクインしました。

 その他の注目エリアとしては、長野県白馬村と熊本県菊陽町があります。白馬村は観光客の回復によりホテルなどの需要が継続したこと、また菊陽町は半導体の世界的企業「TSMC」の工業建設にともなう周辺の土地需要の増加が要因となっています。

 沖縄もそうですが、観光客の回復や大規模施設の誘致は土地の需要を押し上げますね。沖縄では、観光客の増加に伴う国際通り周辺や離島などにおけるホテル開発、大規模施設の開発というところでコストコ(南城市)やジャングリア(名護市)といったところが該当する感じでしょうか。

 ちなみに地価の下落率ワースト10も発表されていて、住宅地のワースト10はすべて石川県でした。一番下落が大きかったのは石川県輪島市の基準地輪島―2で14・8%の下落、基準地価格は2万5400円/㎡でした。やはり、不安定な社会情勢による不動産所有リスクは高まっているような気がします。自然災害がトリガーとなって地価が下落するのは近年のトレンドと言ったら言い過ぎでしょうか。

 沖縄県に話を戻しますと、市町村別で住宅地の上昇が大きかったのは宮古島市でプラス17・9%でした。以下、北中城村、恩納村、宜野座村、今帰仁村と続きます。商業地もやはり宮古島市の上昇がプラス15・2%で一番大きく、以下糸満市、豊見城市、宜野湾市、西原町と続きます。一方で下落した住宅地は、伊江村、久米島町。商業地で下落した市町村はなかったのですが、久米島町と今帰仁村が横ばいでした。

次回も地価調査「標準価格」の発表内容について、恩納村や名護市、南城市などのエリアに注目しながらもう少し掘り下げてみたいと思います。

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