納得! 目からうろこの土地評価 File.11 地価が上昇する要件
新たな視点から不動産市況やポイントを考察する本コラム。
今回は宮古島市、恩納村、北中城村など、地下上昇の大きいエリアの地価がなぜアップしているのか、その理由を見ていきたいと思います。
週刊かふう2024年12月6日号に掲載された内容です。
観光需要の回復が地価上昇のエネルギー
まずは宮古島市です。住宅地の上昇率は昨年が+17・7%で、今年は+17・9%でした。かなりの上昇幅ですね。地点で見てみると、西里にある宮古島(県)―3が、23・4%、下地にある宮古島(県)―11が20・3%、上野にある宮古島(県)―13も20・3%、伊良部にある宮古島(県)―15がなんと26・1%といずれも上昇となっています。
ただここで気を付けなければいけないのは、そもそも価格帯が低い水準のところはちょっと上がっただけでも変動幅は大きくなるということ。確かに宮古島(県)―15の変動幅は26・1%と大きいのですが、実際は㎡あたり3000円しか上がっていません(昨年1万1500円/㎡、今年1万4500円/㎡)。那覇市の天久にある那覇(県)―2は7000円も上がりましたが変動率はプラス2・1%です(昨年33万3000円/㎡、今年34万円/㎡)です。
価格はともかく、宮古島市がなぜこんなに地価が上昇するのか。それは観光需要の回復とそれに伴う県外資本によるホテル進出があげられます。
またニトリなどの全国展開する商業施設の新規出店なども要因のひとつで、これらは周辺の土地の需要をも押し上げました。雇用も拡大し社員寮を確保するための土地需要の増加、あるいは賃貸住宅の需要の増加も顕著です。その一方で建築費が高騰していることから家賃の上昇も顕著で、不動産の収益性も増しています。加えて移住者も多く、これらの需要が地価を押し上げています。今後もこのトレンドは続きそうです。
2015年4月に開業、県内最大級のショッピングモールが地価上昇をけん引する
人の移動が地価上昇のトリガー
恩納村はどうでしょうか? ここでも移住者の増加がみられます。鳴りを潜めていた民泊需要もみられるようになり、これらの土地需要が地価を押し上げているほか、空室が多かった店舗もほとんどの地域で埋まっている状況となっています。
ここでも新規のホテル開発がみられ、従業員寮の建設や確保を目的とした賃貸住宅の需要増加など不動産の地価を押し上げる要因となっています。恩納村も規模の違いこそあれ、宮古島市と同じような状況となっていますね。
区画整理事業と利便性の良さ
北中城村はなぜ地価の上昇が大きいのでしょうか? 地価の上昇が高いという意味では宮古島市や恩納村と同じですが、観光業や移住者需要が要因となる宮古島市や恩納村とちょっと違っています。
北中城村はライカムエリアの人気が高く、また高価格帯のマンションも数多くみられ、戸建の分譲住宅もかなりみられます。木造戸建ては4000万円以上しているのですが、売れていますね。特にイオンモール沖縄ライカム周辺(北中城村ライカム)は区画整理事業が進捗して、地域の発展が著しく、利便性が高まっていることが要因と言えるでしょう。このあたりが、宮古島市や恩納村と少々異なる部分です。
次は年が明け初のコラムになりますが、少し元気がない市町村を見ていきたいと思います。