納得! 目からうろこの土地評価 File.12 地価が上昇しない理由
新たな視点から不動産市況やポイントを考察する本コラム。
今回は地価の上昇がない地域や下落となった地域の市況と現状をみていきたいと思います。
週刊かふう2025年1月10日号に掲載された内容です。
離島のハンデが鮮明に
住宅地において、地価が下落となったところは伊江村、久米島町の2町村です。変動がなかった町村、つまり横這(ば)いとなったところは、粟国村、渡名喜村、南大東村、北大東村、伊平屋村、伊是名村、多良間村、与那国町といったところになります。「やはり」と言いますか、離島が多いですね。
人口減が需要の弱さを生む
まずは住宅地で0・3%下落した久米島町から見ていきましょう。
久米島町は人口が減少傾向にあり、逆に高齢者割合は増加しています。その結果、土地需要も全体的に低迷する傾向にあります。
住宅地は旧具志川村の地域と旧仲里村の地域に分かれており、旧仲里村のほうは比較的取引が見られますが、いずれにせよどちらも高額な取引はほぼみられないのが現状です。
令和6年9月に発表された地価調査を見てみると、久米島(県)―4(仲泊)が1万1900円/㎡で1・7%減でした。久米島(県)―2(宇江城)も4930円/㎡でマイナス0・4%でした。価格としては久米島(県)-4で500円/㎡、久米島(県)-2で20円/㎡しか下落していないので大きな下落ではありませんが、需要の弱さと取引価格水準が下がっていることを反映していると感じます。ただし、イーフビーチ周辺は久米島町のなかでも比較的高い水準にあり、久米島(県)-3(比嘉)はプラス0・8%とわずかですが上昇している地点もあります。
巨大テーマ―パークのオープンで注目される本島北部。伊江島も、この注目の影響を受ける可能性が⁉
観光産業の低迷が地価に反映
伊江村の住宅地は0・6%の下落でした。下落率としてはわずかですが、需要の弱さを感じます。
伊江村は移住者などが少なく、また人口もわずかではありますが減少傾向にあり、土地需要はそもそも大きくありません。移住者を受け入れるための定住促進住宅なども建築されていますが、人口の増加にはなかなかつながっていない状況にあります。
また観光客の受け入れにも限界があり、観光客向けの商業的発展もあまり進んでいないといった状況ですから、こういった要因も地価の上昇にはつながらない理由のひとつと言えるでしょう。人気があるのは港に近い地域ですが、それでも取引はあまりありませんから深刻です。
地価調査を見てみると、伊江(県)―1(西江上)が6100円/㎡でマイナス1・6%、金額にして100円/㎡の下落、伊江(県)-3(東江前)が1万5900円/㎡でマイナス1・2%、金額にして200円/㎡の下落と大きな下落ではありませんが、やはり需要の弱さ、つまり買う人が少ないということを感じます。ただし、伊江(県)―2(東江前)は1・1%の上昇となっており、地価が上がっている地域も存在します。
次回は那覇市に不動産を持っていることは実は「すごいことなんです」というお話です。
離島の魅力は自然の美しさ。「日本の渚・百選」に選ばれた久米島イーフビーチ