あなたの夢を暮らしを応援する
住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

ウェブマガジン

納得! 目からうろこの土地評価 File.14 安い地域からの考察

納得! 目からうろこの土地評価 File.14 安い地域からの考察

新たな視点から不動産市況やポイントを考察する本コラム。

今回は全国的に地価が安い地域との比較から、沖縄の不動産の成熟度を考えてみたいと思います。

週刊かふう2025年3月7日号に掲載された内容です。

よく似た住環境でも地価は歴然

 前回、新都心地区で戸建てを建てるには1億円ほどかかる可能性があることや、那覇市の地価が全国8位であることについてお話ししました。今回は、全国的に地価が安い地域に目を向け、沖縄の土地価格がいかに高いかを改めて確認してみたいと思います。他県のお話ですが、沖縄の土地はけっこう高いということがよくわかると思います。

 令和6年の地価公示において、都道府県庁所在地の平均住宅地価格ランキングで那覇市は第8位、平均価格は1㎡あたり19万2300円でした。一方、最も安いのは青森市(青森県)で、平均価格は1㎡あたり3万3700円です。最も地価が高い地点は「青森―38」で、青森市浜田2丁目13番5に位置し、令和5年の1㎡あたり7万9900円から令和6年は8万3100円へと4ポイント上昇しました。

「青森―38」は、閑静な住宅地で区画が整備され、イトーヨーカドー青森店(昨年7月に閉店し現在はロピア青森店)まで徒歩で1、2分という抜群の利便性を有します。また、青森中央インターチェンジにも近く、東に国道103号、西に県道120号があり、その沿道には全国チェーンの回転ずし店やドーナツ店、ラーメン店、ファミリーレストランが立ち並んでいます。さらに、サッカーをはじめとしたスポーツ強豪校の青森山田高校もすぐそばにあります。

 はっきり言って、この地域の特徴は那覇市の新都心地区とよく似ています。新都心も国道に挟まれ、土地区画整備が行われた地域。イトーヨーカドーはりませんがメインプレイスがあり、全国チェーンの飲食店が多く立ち並び、(那覇国際)高校がある点も共通しています。しかし、両地域の地価を比較すると、「青森―38」は1㎡あたり8万3100円、新都心地区の「那覇-3」は1㎡あたり39万8000円と、5倍近く差があります。やはり沖縄の土地価格は非常に高いと言えます。

納得! 目からうろこの土地評価 File.14 安い地域からの考察

那覇市おもろ町の新都市地区。都市計画された街には高層のマンションが立ち並ぶ

収益性を求め、街並みは進化する

「青森―38」は2階建ての戸建住宅がきれいに建ち並ぶ地域ですが、「那覇―3」の周辺地域は、店舗やアパートなどもみられます。

 これは「那覇―3」の土地が高くなっているからで、地価が上がれば戸建て住宅地はアパートやマンションへと変わっていきます。さらに価格が高騰すれば、収益性の向上が求められ、土地価格に見合ったリターンを得ようとする傾向が強まります。

 それからすると、タワーマンションや高層ビル、高収益が期待できるホテルなどが増えている沖縄は土地の有効活用が進んでいるといえるでしょう。一方で、事業として高収益を得られる需要者や富裕層しか手に入らない土地が多くなっているというのも確かです。地価の高い東京を想像していただければご理解いただけると思います。東京は高層の建物だらけで、大企業や富裕層もいっぱいいますね。

納得! 目からうろこの土地評価 File.14 安い地域からの考察

青森港側から青森市中心地区を望む写真。左奥が基準地「青森―38」の浜田町辺りで高層の建物は少ないように見える

変動に対するリスクヘッジ

 地価が上昇する一方で、リスクも考慮する必要があります。例えば人口減少が予測されている沖縄においても、土地需要が減るというリスクが増えているのかもしれません。これは空き家リスクにつながっていきます。また自然災害リスクも高まっているという印象もあります。
 不動産市況として、買うにしても、売るにしても、投資するにしても、難しい時期を迎えつつあるのではないかなと思っています。沖縄の土地市場はどのように変化していくのか? 引き続き、地価動向に注目する必要がありそうです。

 次回は不動産評価におけるリスクについてお話ししようと思います。

納得! 目からうろこの土地評価 File.14 安い地域からの考察

このカテゴリの記事