納得! 目からうろこの土地評価 File.23 商業地の地価変動「急騰から急落へ」

新たな視点で不動産市況や注目ポイントを考察する本コラム。前回は、コロナ禍で大きく下落した住宅地を取り上げましたが、今回は商業地に注目して、その動きや特徴を探ってみたいと思います。
週刊かふう2025年12月5日号に掲載された内容です。
コロナ禍で急落⁉ 那覇市の商業地
令和3年地価公示における地価下落率トップ10は【表】のとおりです。(カッコ内は令和2年地価公示における地価変動率です)。この後も21位まで下落地点が続き、11位以降には石垣市や名護市、宜野湾市や本部町、嘉手納町などの商業地が並びます。住宅地の下落地点が4地点にとどまったのに対し、商業地はずいぶん下落した地点が増えたことが分かります。
この下落した地点を注意深く見てみると、特に那覇市の商業地のダメージがすごかったことがうかがい知れます。このランキングでも、例えば2位の久茂地1丁目は前年に45%以上も上昇していたにも関わらず、新型コロナの影響でいきなりマイナスに転じました。同様に、5位の久茂地3丁目も前年は41%以上の大幅上昇したものが、新型コロナの影響によってマイナスへと反転しています。那覇市はかなりの商業地がこのような状況に陥り、新型コロナの影響を大きく受けることになりました。

沖縄で最も高額な地価を誇る那覇5-14も新型コロナの影響にはあらがえず、令和3年は下落率5位と大きく値を下げた
固定費負担で収益悪化
この頃は、人と人の接触が制限されたことで飲食店は軒並み休業・閉店を余儀なくされ、事業継続が難しい状況に置かれました。売り上げがないので、家賃や人件費といった固定費
の支払いも困難になるケースが相次ぎました。
それでも家賃については、各種補助金やセーフティーネットの活用によって、ある程度は支払われていたのですが、不動産としての収益性は著しく低下したといえます。収益の先行き不安が強まったことで投資リスクが高まったため、結果として地価は下落の方向で推移することになりました。
離島でもその影響は大きく、石垣市の商業地でも地価が下落しました。しかし、その一方で、地価が上昇した商業地も存在し、上昇した商業地は20地点に達しています。
次回は、この下落した地域と上昇した地域を比較し、それぞれの特徴を見ていきたいと思います。

令和3年の地価下落率でトップとなったのは那覇5-18。このエリアも高額地の常連で、那覇5-14に次いで毎年2位の座を維持する

