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稲嶺さんの失敗談から学ぶ相続対策 Vol. 11「子どもが一人でも遺言書は必要?」

稲嶺さんの失敗談から学ぶ相続対策 Vol. 11「子どもが一人でも遺言書は必要?」

子どもが一人なら相続は簡単? 実は、遺言書がないと手続きは想像以上に大変です。今回は、その理由を解説します。

週刊かふう2025年3月14日号に掲載された内容です。

稲嶺さんの失敗談から学ぶ相続対策 Vol. 11「子どもが一人でも遺言書は必要?」

よくあるお悩み事例

 田中家の父・和夫さん(享年88歳)が亡くなりました。相続人は、妻の美智子さん(84歳)と一人娘の恵さん(55歳)です。和夫さんは「子どもが一人なら遺言書はいらない」と考えていました。しかし、恵さんは喪主として葬儀の手配をし、親戚への対応、高齢の母・美智子さんの看病などで、心身ともに疲れ果ててしまいました。

 そんな中、遺産の手続きも進めなければなりません。しかし、遺言書がないため、母と遺産分割協議をする必要がありました。さらに、父の財産についてすべてを把握しているわけではなく、どの金融機関に口座があるのか、不動産の名義はどうなっているのかを調べる必要がありました。専門家に相談したくても、どのタイミングで誰に相談すればいいのかわからず、相続の手続きにはどんな期限があるのかも不安なまま、時間だけが過ぎていきました。

 まず、タケオさんは自宅のほかに土地を所有しており、この土地を将来売るかもしれないと考えています。今遺言書を作っても、土地が売れた場合と売れなかった場合で財産が大きく変わるため、どう書けば良いか悩んでいます。また、将来的に医療費や介護施設の費用などで預金残高が大きく減る可能性もあり、現時点で正確な遺言書を作るのが難しいと感じています。これらの不確定要素が多いため、遺言書を作成するタイミングや内容について慎重になっています。

事例から得られる教訓

 「子どもが一人なら遺言書は不要」と考える人は少なくありません。しかし、遺言書がないと相続人は多くの手続きを自分で行わなければならず、大きな負担となります。
特に、どこにどのような財産があるのか、どのように分けるのかが決まっていないと、財産調査に時間がかかり、相続手続きがスムーズに進みません。また、配偶者と子の間で遺産分割協議が必要となるため、精神的にも負担が大きくなります。
 
 こうした負担を減らすためにも、生前に遺言書を作成し、財産の分け方を明確にしておくことが重要です。

稲嶺さんのワンポイントアドバイス

 遺言書を作成する際に「遺言執行者」を指定すると、相続手続きがよりスムーズになります。遺言執行者とは、遺言の内容を実行する人のことです。
遺言執行者の選び方には、相続人の中から選ぶ方法と、専門家(弁護士・司法書士・銀行など)に依頼する方法があります。

 特に、配偶者が高齢の場合や財産の内容が複雑な場合は、専門家を遺言執行者に指定しておくと安心です。遺言書を公正証書で作成し、遺言執行者を決めておくことで、相続人の負担を軽減できます。

稲嶺さんの失敗談から学ぶ相続対策 Vol. 11「子どもが一人でも遺言書は必要?」

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