稲嶺さんの失敗談から学ぶ相続対策 Vol.4 二次相続の落とし穴(遺産分割協議編)
一次相続と二次相続では遺産分割協議における話合いにおいて重要な違いがあり、改めて遺言書の備えが必要だと教えられる事例
週刊かふう2024年7月12日号に掲載された内容です。
みんなの悩み
平良ユキオさん(67歳)は、3年前に亡くなった母トミ子さんの遺産の相続手続きが未だに完了しておらず、大きな悩みを抱えています。母の遺産には預金や不動産が含まれており、これらの相続登記や手続きが進んでいない状況です。
8年前、ユキオさんの父が亡くなった際は、母トミ子さんが主導して遺産分割を進め、ユキオさんと2人の妹も円満に合意しました。この時の経験から兄妹間ではスムーズに事が運ぶと考えられていました。
しかし、母トミ子さんが亡くなった3年前、状況は大きく変わりました。母がいなくなったことで相続人3名の意見の調整が困難になりました。誰がどの資産を受け継ぐかについて意見が分かれ、結果として相続手続きは長期化し、今に及ぶまで遺産分割についての合意には至っていないのです。
失敗談からの教訓
子供は通常、両親がそれぞれ亡くなることによって2回の相続を経験します。「一次相続」とは一方の親が亡くなった際のもので、「二次相続」とはその後にもう一方の親が亡くなった際の相続です。一次相続では残された親と子供が共に関わりますが、二次相続は子供だけで行われる為、親の不在が子供間の合意形成に支障をきたすことがあります。これを避けるためには遺言書による備えが重要です。
稲嶺さんのワンポイントアドバイス
夫婦それぞれが遺言を作成する場合、よくある質問として、「将来、配偶者から相続する予定の財産を自分の遺言に記載しても良いのか?」が挙げられます。答えは「はい」です。将来取得予定の財産を遺言に含めることは可能であり、それによってスムーズな財産の移行が期待できます。以下、主な遺言書の比較表です。