稲嶺さんの相続・終活知恵袋 Vol.5 不動産の分け方について
相続財産の中でも、不動産は分け方で大きなトラブルになりやすい財産です。土地や建物は現預金のように簡単に分けることが難しく、相続人同士で意見が食い違い、話し合いが長期化することもあります。今回は「不動産をどう分けるか」をテーマに、よくある落とし穴と実践的な工夫を紹介します。
週刊かふう2025年9月12日号に掲載された内容です。
共有名義の落とし穴
意見が割れる相続不動産
父親の相続財産は、築50年の自宅とその敷地のみ。亡くなった父親は「二人の息子に平等に分けたい」と考えていました。相続人である長男と次男は、取りあえず共有名義にしましたが、その後が問題でした。長男は自宅を建て替えたいと主張する一方、次男はアパートを建てるなど収益運用を希望。双方の意見が対立し合意できず、不動産の管理や運用は進みません。このまま時間が経過すれば、将来、次の世代へ権利が移り、相続人がさらに増えて権利関係は複雑化。「扱いに困る不動産」となる恐れがあるのです。