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稲嶺さんの相続・終活知恵袋 Vol.9 「10カ月もある」ではなく「10カ月しかない」

稲嶺さんの相続・終活知恵袋 Vol.9 「10カ月もある」ではなく「10カ月しかない」

相続が発生すると、「相続税の申告は10カ月以内」と聞いて、意外と余裕があると感じる方も少なくありません。しかし、この10カ月を過ぎてしまうと、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」など、大きな税務上の特例が使えなくなる可能性があります。この10カ月、落ち着いて準備できる期間は想像以上に短いのです。

週刊かふう2025年1月17日号に掲載された内容です。

よくある落とし穴
「まだ時間がある」と思っていたら、あっという間に期限間近

 例えば、父が亡くなり、母と子ども2人が相続人となったA家を考えてみましょう。相続発生後すぐは、葬儀や四十九日法要、各種手続きに追われ、気持ちの整理もつかないまま時間が過ぎていきます。また、亡くなった方に申告すべき所得があれば「準確定申告」を4カ月以内に行う必要があります。

 ここで、ようやく相続の話し合いを始めようとすると、残りは実質6カ月ほど。しかも遺言書がないため、預金や不動産の調査、戸籍を集めて相続人を確定し、誰が何を引き継ぐのかを話し合わなければなりません。実家の土地や建物が絡むと、「売る・住む・分ける」で意見が分かれ、話し合いが長期化するケースも少なくありません。気づいた時には、申告期限が目前、特例が使えず税負担が増える——そんな落とし穴が現実に起きています。

稲嶺さんの相続・終活知恵袋 Vol.9 「10カ月もある」ではなく「10カ月しかない」

稲嶺さんの知恵袋
本当に効果的な相続税対策とは?

 相続のご相談を受ける中で、「相続税対策をしたい」という声は多く聞かれます。多くの方が、「生前贈与」や「資産の組み替え」など、相続財産を減らす方法に関心を持たれています。しかし実務の現場で感じるのは、最も効果的な相続税対策は、円滑に手続きを進められる準備をしておくことだという点です。

 具体的には、まず家族(相続人)が納得できる内容の遺言書を作成すること。そのうえで、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」が確実に使えるよう、分け方をあらかじめ整理しておくことが重要です。さらに、相続発生後10カ月以内に手続きを進めるため、遺言執行者を決めておくことで、話し合いの停滞や期限超過のリスクを大きく減らせます。

 相続税対策は「いくら減らすか」だけでなく、「期限内に確実に特例を使える状態をつくること」。その準備こそが、結果的に税負担を抑える最大の対策になります。

稲嶺さんの相続・終活知恵袋 Vol.9 「10カ月もある」ではなく「10カ月しかない」

稲嶺さんの相続・終活知恵袋 Vol.9 「10カ月もある」ではなく「10カ月しかない」

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