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アール―さんの相続・終活知恵袋 Vol.12 遺言書があってもトラブル?

アール―さんの相続・終活知恵袋 Vol.12 遺言書があってもトラブル?

「遺言書を作ったからもう安心だ」

そう思う気持ちよく分かります。しかし世の中には遺言書があってもトラブルになること、はたまた遺言書があるが故にトラブルに繋がることもあります。

例えば次のような相続のケースを考えてみましょう。

週刊かふう2026年4月10日号に掲載された内容です。

アール―さんの相続・終活知恵袋 Vol.12 遺言書があってもトラブル?

遺言書があったのに……

 Aさんは数年前に夫を亡くし、現在は一人暮らし。長男と次男の二人の子供がいますが、普段は次男と次男の妻が病院や日常の買い物の付き添い等、献身的にサポートをしてくれています。
 
 その後、Aさんが亡くなり長男と次男は遺産分割協議を行いました。相続財産は自宅(時価5,000万円)と銀行預金1,000万円。長男が「家は父さんがおれにあげると言っていた。お金はあげるから自宅はおれが貰う」と主張します。一方、次男は「父さんの相続のときに兄貴はたくさんお金をもらったのに、おれは何も相続しなかった。しかも母さんの面倒を見てきたのはおれたち家族だ。平等でないと納得しない」と主張し、話は平行線となります。

 そんな矢先、次男の妻がAさんの自宅の遺品整理をしていると遺言書を発見しました。すぐに次男へ連絡。開封はせずに、家庭裁判所へ検認の申し立てをすることに。後日、長男と次男立ち会いで開封すると遺言書の中には「全財産を次男に相続する」という内容が。

 当然、長男は納得できず「父さんの意向は母さんも知っていたはずだ。納得できない。」と強い口調で言います。次男も「兄貴は母さんの生命保険も貰っているじゃないか。父さんの時の相続も考えると問題ないだろ。母さんの意向を尊重してくれよ」と反論します。

 長男が「生命保険は遺産に入らない。これは関係ないことだ。母さんは当時認知症で遺言を作れない状況だったはずだ、遺言の無効を訴える」と兄弟の係争は裁判に発展していきました……

このようなトラブルはどうすべきか

 遺言書はただ書けば良いというわけではありません。内容によってはむしろ遺言書があったがためにトラブルに発展したという事例もあります。
今回のケースであれば、公正証書遺言で作成することや長男の遺留分侵害をしないような配慮を検討することが必要だったかもしれません。また次のようなメッセージを付言事項として相続人に遺すことで心情面に配慮することができ、トラブル発生のリスクを抑えることができた可能性もあります。 

【付言事項】
私が遺言を書くことを決めた理由は、父の相続の際に次男へ財産が渡らなかった経験があったからです。自分の番になったときには、長年面倒を見てくれた次男へきちんと財産を引き継ぎたいと考えました。

 私が入院した際には、次男の妻が毎日病院へ足を運び、献身的に支えてくれました。その優しさは本当に嬉しく、今でも深く感謝しています。
 もちろん、長男のことを大切に思う気持ちに変わりはありません。ただ、財産の分け方については、父の相続時の経緯もあり、長男にはすでに生命保険で備えがあることから、今回の分配について理解してもらえると助かります。
 家についても、父はかつて「長男に継がせたい」と話していましたが、長男はすでに自分の家を持っています。そのため、家を持たない次男が、この思い出の詰まった家をこれからも大切に使ってくれることを期待して、託すことにしました。父も、この家を家族がずっと守り続けてほしいと願っていたはずです。
 私は父のもとへ旅立ちますが、どうかこれからも兄弟仲良く過ごしてください。相続をきっかけに争うようなことが決してありませんように。

アール―さんの相続・終活知恵袋 Vol.12 遺言書があってもトラブル?

アール―さんの相続・終活知恵袋 Vol.12 遺言書があってもトラブル?

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