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僕の好きな風景 第63回 猫も喜ぶキャットウォーク

僕の好きな風景 第63回 猫も喜ぶキャットウォーク

メンテナンス用の通路をキャットウォークという。今回は無垢の木で作った

 

週刊かふう2022年9月2日号に掲載された内容です。

 建築用語には動物の名前がいくつか出てきます。
 犬走り(家の周りの泥除けの土間)だとか、猿桟(雨戸などの戸締まり用のスライドする細木)とか……どちらも決して犬のためでもなければ、猿用でもありません。
 他にも、キャットウォークも猫を喜ばせるためのものではなく、高所用のメンテナンスのための簡易な通路のことを指します。

 例えば住宅では、吹き抜け上部に窓を設けた時に、その窓やブラインドの開け閉め、ガラス掃除のために設けることがよくあります。
 以前は吹き抜け上部に窓を設けると空間が明るくなりすぎて、個人的には好みではなかったのですが、真冬の吹き抜け上部の開口部からの日射取得は、気候変動に伴うCO2削減に有効であるということで、渋々ながらも窓を設ける工夫に取り組んでいます。

 そうなると、その窓をメンテナンスするための工夫も必要となり、キャットウォークの出番となるのです。
 その名前のごとく、軽やかで簡易的でありたいと案を練り、無垢の木を「現し」で使うことにしました。
 床もスノコ張りとして、空気が動くようにし、視線も抜けて軽やかなメンテナンス用の通路でありながら、デザインとしても感じの良いものになりました。
 2階の裏動線の役割もあり、2階にも廻れる動線を創りだすことができて、楽しく移動ができます。
 窓の開け閉めはもとより、空中の居場所としても楽しめそうです。
 きっと猫たちが高いところを好むのは、同じような感覚を感じているのかもしれません。
 猫も喜んで歩きたくなるような通路になり、キャットウォークという名称は言い得て妙だなと感心しています。

 これからもさまざまなバリエーションを考えていきたいと思っています。

僕の好きな風景 第63回 猫も喜ぶキャットウォーク

床は細い根太でできていて、空気を通し、視線も抜ける

僕の好きな風景 第63回 猫も喜ぶキャットウォーク

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