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僕の好きな風景 第68回 触れるところをひと工夫

僕の好きな風景 第68回 触れるところをひと工夫

シナベニアとチークのコントラストが美しい

 

週刊かふう2023年2月3日号に掲載された内容です。

 

 

「良い住宅は見えないものまでデザインされている」と先輩方から教わってきました。
 見えない空気や熱はもちろん、匂いや音も写真には映らないのですが「居心地」を良くするためには重要な事項です。

 上記に加えて手触り、足触りも直に肌に触れるので一段と気を遣います。
 特に手で触るところは収納の取手や階段の手すりをはじめとして暮らしの気持ち良さに大きく関わります。 
 そしてその形は目によく見えているものです。
 デザインとして眼を惹くものであり、見えない触り心地を思い描いて設計するので最も大事にすべきものかもしれません。

 日頃の設計で気を遣っているところは収納扉の引き手、階段の手すりなど。

 写真-1はシナベニアフラッシュの建具に引き手のみチークを合わせるのが伊礼智設計室の昔からの定番。チークは汚れが目立たなく、耐久性も高いので触れる部分にはぴったりです。シナの明るさとチークの濃さの取り合いが可愛らしい。

 写真-2、トイレなどの簡易な鍵もそのまま取り付けると味気ないのでチークを建具に嵌め込み、鍵を取り付け、ワンポイントの引き手としてまとめています。これも可愛いらしくできたと思います。

 写真-3の食器棚のガラスの引き戸も金属の既製品ではなく、ここにもチーク(オークやナラなど堅木ならなんでも良い)の引き手を複雑に加工して接着して使います。

 写真-4の階段の手すりも既製品ではなく、大工さんに作ってもらっています。小ぶりの握りやすい手すりをビスで取り付けるのですが、埋木にチークを使うことで可愛らしいデザインとなります。

 手・指先で感じる心地よさは建築設計の要なのです。


僕の好きな風景 第68回 触れるところをひと工夫

手掛けや鍵をチークに納める

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ガラス扉の引き戸は手触りの良い木にしたい


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階段の手すりも大工に腕を振るってもらい、握りやすい丸みを帯びた断面に

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