僕の好きな風景 第74回 夏を涼しく……スダレの効用
事務所の西日を和らげるスダレと庭の緑
週刊かふう2023年8月4日号に掲載された内容です。
本棚の整理をしていると、20年前に特集記事を書かせていただいた雑誌が出てきて、懐かしく見入ってしまいました。
「涼しい家のつくりかた、暮らし方 25の基本」と題して16ページに渡ってまとめたものですが、気候変動のせいか? 20年の間に涼しく暮らすあり方も変わってきたように思います。
例えば、エアコンがもはや贅沢品ではなくて冷蔵庫と同じ生活必需品になってしまったことは大きい。
そんな中でも、価格的にも、設置するのも手軽な製品としてスダレは今でも日射遮へい(遮熱)の王道ではないでしょうか?
伊礼智設計室では、スダレは年間を通して活躍してくれます。
夏は西日避けとして(日差しが強いところはダブルで使用)、冬は窓から熱を奪う風除けとして……。
また、年間を通して昼間は周辺からの視線を遮ってくれるのでブラインドを開けて庭の緑を楽しみながら過ごすことができます。
さらに、視線を遮りながらも風を通すことができる。
安価であるのに長年にわたり使い続け、所々、新しく取り換える……今の時代でも、もっともエコなアイテムの一つであることは間違いありません。
東京暮らしも30年近くになりましたが、年々、窓を開けて通風を促すことが少なってきました。
今年、目白の事務所の玄関脇の気温は早くも38℃を超えました。
湿度も高く、窓を開けて通風で対処できるような状況ではありません。
エアコンとの上手な共存がこれからの時代の涼しく暮らす基本なのでしょう。
エアコンの効率をアシストするためにも、スダレにはこれからも頑張ってもらわなければなりません。
20年前の『住む。』(2003年夏号)。この頃とは暮らし方も変わりつつある