僕の好きな風景 第78回 子供たちの居場所
子供たちの図書室であり、工作場でもあり、リビングでもある2階のスペース
週刊かふう2023年12月1日号に掲載された内容です。
日頃から住まいは小さな居場所の集合体だと考えています。
広いリビングの真ん中にゆったりソファを置くよりも、リビングの空間の隅に寄せてあちこちに小さな居場所を創っていく方が、空間を多義的に使えるはずです。
そして家族がバラバラなことをしていても同じひとつの空間に程よい距離感で居られる・・・それがいつも目指している住宅のあり方です。
写真の住まいは長野県の上田の家。若い4人家族のための住まいです。
東西に長い敷地なので、東西に広がるようにプランニングしました。
どの部屋からも南の景色が楽しめて、陽当たりの良い家となりました。
吹き抜けに立ち上がる壁の開口から、ちらっと子供たちの居場所がうかがえる
断熱と気密を高めたので、寒冷地にも関わらず大きな吹き抜けを創ることができました。この吹き抜けを囲うように住まいが立体的なひとつの空間となります。
ダイニングテーブルの脇に誰でも使えるデスクを用意し、子供が小さい間は、お母さんの目が届くところで勉強するのにちょうど良いかもしれません。
そしてこの家のちょっと贅沢なところは、将来の子供達の居場所として、2階の吹き抜けの脇に自由に使えるスペースを用意したことです。
図書室でもあり、アトリエにもなります。
2階の廊下を少し広げてなんとか捻り出せたスペース……個室は小さくまとめてこのような子供たちで使える居場所も楽しそうです。
吹き抜け上部に用意した窓拭きのためのキャットウォークも子供たちのテリトリーとなり、吹き抜け上部はすべて、子供たちが支配することになりそうです。
子供たちが巣立った後は書斎として機能し、もしかしたら将来2世帯住宅のリビングとして活用してくれるかもしれません。
吹き抜けに面して子供たちの居場所が設けられている