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僕の好きな風景 第97回 住宅見学の作法

僕の好きな風景 第97回 住宅見学の作法

カバンやバッグは室内には持ち込まないようにしたい。女性はバッグを持ち込むことが多いので壁を擦らないように注意

週刊かふう2025年7月4日号に掲載された内容です。

 

 最近、設計した住宅をご覧いただく機会が増えてきました。
 本も買った、講演も聞いた、やっぱり設計した実物が見たい……ということだと思います。建築は実物を見ないとわからない。
 写真だと空間に包まれる感覚や素材の質感がわからないのです。
見たいと言われることは嬉しいことなのですが、見ていただくことには苦労も抱えることになります。

 若い頃は自分が設計した住宅を多くの方々に見てほしいので、引き渡し前に完成見学会を頻繁に行いました。
 家づくりをお考えの方々にとっても、住宅は商業建築や公共建築に比べて見る機会がほとんどないので見学会は貴重なチャンス。
 家族連れでいらっしゃることが多く、その人数に加えて、設計仲間やマスコミの方々などで溢れかえっていることが通常でした。

 ところが、見学会が終了すると丁寧に仕上げた壁が傷つけられていたり、床が汚れたり……時には家具を壊されたこともありました。
見学会の注意事項をお伝えしても、なかなか傷や汚れはなくならないものでした。

 そんな経験から、だんだんと見学会に後ろ向きになっていき、さらにはプライバシーと防犯面から見学会を望まない住まい手が増えてきて、大々的な見学会は避けるようになっていました。
 写真でなく実物の建築をご覧いただきたいと強く思いつつも、住まいを傷つけない見学のマナーを守っていただけるだろうかと不安があることも確か。

 見学希望の声が強まる中、以下の作法をお願いしますと願うばかりです。リュックやカバンを室内に持ち込まないこと。乱暴にあちこち開け閉めしない。素手で左官仕上げの壁を触らない。小さなお子さんはできるだけ連れてこない。無許可であちこち、写真を撮ってSNSにアップしない。この5つだけ守っていただければと思うのですが、小言の多い窮屈な見学会もどうかなあ? と思います(笑)

僕の好きな風景 第97回 住宅見学の作法

コロナ以降は人数を制限し、じっくりご覧いただくようになったので、傷や汚れ対策にも効果がある

僕の好きな風景 第97回 住宅見学の作法

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