僕の好きな風景 第98回 カメラマンの視点から学ぶ
玄関までのアプローチをカメラマンと同じ低い視点で撮ってみた。これまでと違う新鮮なアングルだった
週刊かふう2025年8月1日号に掲載された内容です。
先日、建築専門誌である新建築・住宅特集が自宅「下町の小さな家」の撮影を行いました。やってきたカメラマンのYさんはこれまでにも何件か撮っていただいている旧知の仲。
これまで何人ものカメラマンに自分の仕事を撮影していただいていますが、撮影に立ち会うと建築の見方に関して学びが多くて楽しい。
光の見方、カメラを構える高さ、照明の使い方などの違いが面白い。
建築家の光や素材に対するこだわりと同じなのだなあ……と感心してしまう。
たいてい、カメラマンは現場にやってくる前に撮影物件の図面に目を通し、編集者の意見を聞いて現場にやってくるのですが、その日の天気や実際の建築を見て、方針を決めるようです。
今回は朝9時から撮影をスタートの予定でしたが、室内を撮るには光量が少ないこと、外部の樹木や電線の影などを考慮して、お昼近くからの撮影開始となりました。
それまで、室内を見ていただき、夕景撮りまでのおおよそのタイムスケジュールを確認しながら世間話。
お昼近くになって室内が少し明るくなってきて、やっと室内をいくつか撮り始めました。
人によっては昼間でも、室内照明を灯して撮ることがあるのですが、Yさんは照明を一切使わず、自然光だけで撮るタイプ……よって、光が整うまではじっと待つ。
僕は撮影には一切、口を出さず、カメラマンに任せて、その視点を観察するタイプ。
その建築の魅力を最大限引き出そうと、どのアングルでカメラを向けるのか? 楽しみにしています。
また、撮影は待ち時間も多く、その間のカメラマンとの建築談義も面白い。
その日は撮影開始から終了まで13時間、その内、9時間は「食い・飲み・おしゃべり」の有意義? な時間でした。
室内は立つ視線、座る視線と撮り分ける。照明は灯さず自然光のみで撮る