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僕の好きな風景 第102回 4畳半の骨格を持つ住まい

僕の好きな風景 第102回 4畳半の骨格を持つ住まい

室内は4畳半の骨格の構成が明確に表現されている

週刊かふう2025年12月5日発行号に掲載された内容です。

 

 宮崎県・都城に完成した住宅は4畳半の骨格で構成された住まい。
 4畳半は日本らしい最小限の部屋と言って良いのではないでしょうか?
「方丈記」を書いた鴨長明は約4畳半の「方丈庵」で暮らしていて、さらにその家は折り畳んで運べるモバイル住宅でもありました。

 今の時代に生活の全てを4畳半の中に納めるのは無理だとしても、単一機能の部屋としては日本人にとって馴染み深い広さだと思います。
 

僕の好きな風景 第102回 4畳半の骨格を持つ住まい

和室からリビングを見る。開口部には雨戸の代わりにガラリを仕込んでいる

この家はi-works4.0という僕の設計した規格住宅……木造の柱と梁が4畳半の骨格として表し(真壁)となり、断熱材がたっぷり入った大壁(構造が壁の中にあって見えない)との組み合わせで日本らしいインテリアとなっています。

 この4畳半はキッチンにあるいはダイニングに……と部屋を当てはめていく感じの構成です。
木造建築の骨格がリズミカルに現れ、モダンな和のテイストを醸し出していると思います。

 動線も廊下がなく、昔の古い「田の字」型のプランで、部屋から部屋へ移動していくので少ない面積ながらも広々としています。
高断熱住宅だからこそ、成り立つプランなのでしょう。
 4畳半の骨格を持つ空間は手が届きそうな身体感覚を持つ広さで多くの方々に馴染み深いのではないでしょうか。
庭に面した大きな木製建具は全開できて、季節が良い時には外部と内部が一体となります。

 床は無垢板(地元の杉)、壁は地元の白洲を原料とした左官壁、天井は登り梁の表し、内部建具には和紙障子を仕込んであります。木と土と紙できた4畳半(方丈)の空間構成となりました。

僕の好きな風景 第102回 4畳半の骨格を持つ住まい

西側外観。屋根の上野物見台から霧島山が望める

僕の好きな風景 第102回 4畳半の骨格を持つ住まい

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