僕の好きな風景 第103回 文字を練る

初版と復刻版の2冊(どちらも絶版)。現在は復刻ドットコムよりデジタル版が発売中。アマゾンより取り寄せ可能
週刊かふう2026年1月9日発行号に掲載された内容です。
2004年に初めての著作となる絵本・「オキナワの家」を出版させていただきました。
子ども達に伝えたい家の本ということで、日本の建築家たちがそれぞれ異なるテーマで1冊ずつ担当し、高い評価を受けたシリーズでした。
ある方の尽力で「オキナワの家」は朝日新聞の書評欄に取り上げられて多くの人々の目に留まり、程なく完売となる幸運に恵まれました。
その時の書評を書いていただけたのがコラムニストの栗田亘(くりたわたる)さん。
限られた文字数の中に沖縄への優しい眼差しを感じる良い文章……さすがプロは違うと感心したものでした。
その後、栗田さんにお会いする機会があり、光栄にも僕の文章を大変褒めていただいたのですが「3文字だけ無駄な文字がある」と指摘をされました。
コラムの中にも出てくる文章で「スージ(路地)と屋敷内との間に衝立(ついたて)のような壁があります。これがヒンプン(屏風(びょうぶ))と呼ばれ……」、その中の「これが」の3文字は要らないとのこと。確かに……限られた文字数で意図を伝えるために文字を練ることが、栗田さんの流れるような文章に繋がるのか? と大いに合点がいきました。
設計を練る行為にも繋がり、思い出深いエピソードとなりました。

朝日新聞コラム(2004年)。栗田さんの練られた文章が素晴らしい


