僕の好きな風景 第31回 住宅のようなオフィス
住宅のようなオフィス
謹賀新年、年明け第一回目は僕の働く場について。
2006年に事務所として古い小さな平屋の家を借りました。内外ともにそれなりに古びていましたが、昭和の匂いがプンプンするインテリアがとても可愛らしいと思いました。
当時で築46年と聞いたので、今では築60年となります。大家さんにお願いして、内部のみ改装させていただきました。
できるだけ現況の可愛らしさを残しつつ、できるだけ壊わすことなく、今ある床・壁・天井に新たに壁を付け加えていき、少しでも熱性能を良くしようとしました。
借家の改装の難しいところは、不動産業界に残る「現状復帰」という、出て行く時に元の状態に戻して返さなければならないという慣習です。
加えて、大家さんが心配していたのは、建築家の改装は特殊すぎて他の人が住めなくなるのではないか? ということでした。
そこで、僕の仕事が住宅設計の仕事がメインである事、地味な作風である事、住宅のように改装する事をお話しして、現状復帰せず、押し入れのみ元に戻すという事で許可を得ました。
昭和の匂いを消す事なく、住宅のようなオフィスの中で仕事をし、みんなで昼ご飯を作って食べて、暮らすように働き続けてきました。
あれから14年になろうとしています。その間に変わった事は、物が増え続け、ずいぶんと散らかってきた事くらいで穏やかに仕事ができているように思います。
それはこのオフィスが古いものを活かし、時流に流されない空間であるからかもしれません。