僕の好きな風景 第27回 木造が自然を守る
木造が自然を守る
沖縄では新築木造の着工件数が増えてきました。
もうすでに新築の30%が木造だそうです。
戦後、沖縄はずっとコンクリートの建築でした。その間に、本来の木造の技術を持った職人がほとんどいなくなってしまいました。近年、大量生産のハウスメーカーの家々が建ちはじめた風景を見ると、本来の木造とはどういうものであるか、木の良さ、木の魅力を沖縄の人たちはもう忘れてしまったのではないか? と心配です。
今後、沖縄に木造が定着し、沖縄らしい木造住宅が沖縄の風景を創り出すためにも、木造の生産現場の話をしたいと思います。
今回紹介するのは紀州の山長商店。植林からプレカットまで、一貫した生産システムを持っています。
僕が最も信頼する材木屋で、いち早く無垢材でJAS(日本農林規格)の認定を受けました。材木1本1本、性能表示されていて安心して使えます。
木材の含水率が20%以下、ヤング係数(木材のたわみの指数で、大きいほどたわみにくく、強度も高い)が杉で70以上、桧は90以上という、高い品質で提供してくれます。
山長の木材は苗木を1ヘクタールあたり5千本ほど植えます。これは九州材の2千本と吉野材の1万本の間くらいです。本数が多いほど成長が遅く、強度の高い、木目の細かい材木となります。
昔から、吉野の木材は酒樽を作るため、成長が早い九州材は船を作るため、紀州の木材はちょうど家づくりに適する強度の高い木材を育てていたようです。
僕は定期的に山長へ通い、植林から製材・乾燥までのレクチャーを受けてきました。それは木造に関わる人は木を育てる現場に身をおき、その苦労と技術を理解し、仕事に取り組むべきだと思うからです。
国産材で家を造る事が山を守る事に繋がります。
山が荒れると川が荒れ、そして次に海が荒れ、自然破壊に繋がるのです。