僕の好きな風景 第6回 釜山の階段路地
釜山の階段路地
今回は韓国・釜山の階段路地の話。
場所は釜山の凡一洞で韓国映画「チング」の舞台にもなった場所の近く、チャガルチ市場も近くにあります。
山の斜面に張り付くように住宅地が密集し、見上げた時に、斜面に沿った階段上の路地に強く惹き込まれました。
ブルーの水タンクが折り重なる屋上テラス、それを縫うような階段テラスに、ちょっと興奮気味に、でもどこか懐かしさを感じながら暗くなるまで歩き続けました。
「釜山には沖縄の集落と似た集落がある」と聞いて出掛けたのですが、下町の生活の臭いと自由な色彩表現、行き当たりばったりに拡張する住まいや生活領域が、どこか沖縄的で親近感を感じます。
古い集落だけでなく、町中のコンクリートのフラットルーフの佇まいも沖縄っぽく、路地歩きが楽しい。どこに出るのか、どんな風景が現れるのか? ワクワクします。
ペンキが退色しているところや、モルタルの下から古い、本来の石積みらしきものが見え隠れしていて「重層する時間」も感じさせてくれます。
必要なものは、そこにある有り合わせのものを使う、それで済ませる、それを最大限表現する……、まるで昔の沖縄のようです。
自分たちの暮らしが拡張するにつれて心のままに増築していったパワーを感じます。路地と住まいの庭の区別もつきにくく、タテにも横にも移動できて、たくさん歩き、楽しんで、筋トレにもなる爽快な階段路地でした。
しかし、開発の波がここにも押し寄せ、高層のマンションに建て替えられていくようです。