僕の好きな風景 第38回 バックヤードが暮らしを支える。
左)吹き抜け上部の小窓はランドリーに繋がる 右)ランドリーはこの吹き抜けたリビングに繋がり、
家族から孤立しない
週刊かふう2020年8月7日号に掲載された内容です。
バックヤードが暮らしを支える。
裏で暮らしを支えてくれる、働く女性のための「3種の神器」というのが食洗機、掃除ロボット、そして洗濯乾燥機……だそうです。
裏方の役割が重要だというのは建築も同じ……「建築はバックヤードだ」と言い切りたいくらい、メインの空間を支えるための裏方の空間の存在は大きい。
住まいの中で炊事・洗濯やゴミ出しは快適な暮らしを支える裏方の仕事。
しかし、時代が変わって、炊事仕事を行うキッチンは今やダイニングやリビングと同じくらい暮らしの中心的な存在となり、料理を作る空間は建築として裏方から表へと昇格してきました。
普段からキッチンを既製のシステムキッチンでなく、住まい手に合わせてデザインし、職人たちと作り上げていくのは、キッチンが建築家の腕の見せ所となったからです。
そうは言ってもまだまだ暮らしを支える裏方仕事は少なくありません。
特に洗濯・物干し空間というのは裏方の中の裏方、なかなか表に出せない場所であることは確か。
家族が健康に心地よく暮らしていくためにもっと考えられて良い部屋だと思います。
写真は「武蔵野の家」の2階に設けたランドリー、3畳の広さを持つ。
バルコニーにつながり、晴れた日は外干し、天気の悪い日は室内干しも可能、アイロン掛けもできる多機能な空間、小さな開口部を通してリビングの様子も伺えて孤立感がありません。
住宅設計の「ツボ」はバックヤードを疎かにしないこと……コロナ禍のあとの在宅勤務が増えてくる中で、住み心地を支えるバックヤードはもっと機能的で楽しくありたいと思います。
2階に設けたランドリー。
日当たりの良いゆったりした部屋となった