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都市を持て。田舎へ出よう。 第十六歩

都市を持て。田舎へ出よう。 第十六歩

週刊かふう2020年8月21日号に掲載された内容です。

第十六歩 「変わらない強さ。変わるしたたかさ」

 商売の売れると売れないの違いは、マーケティングによると思っているし、私の仕事である観光協会という仕事は、地域観光をマーケティングする事とも言えるため、日々その事ばかり考えている。
 マーケティングとは何だろうか? USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をマーケティングによってV字回復させた森岡毅氏によれば、『マーケティングとは消費者価値を向上させるための科学』だと言う。
 そもそも、マーケティングはアメリカで生まれた経済学問である。イノベーター理論やキャズム理論、PDCAサイクル手法、ビジネス書等で触れた方もいるかもしれないが、簡単ではない。ましてや新型コロナの影響で、多くの飲食店が苦しむ中、マーケティングによって何とか解決できないかと、ずっと考えていた。
 そんな折、ふと今帰仁村仲宗根にある食堂「なーはー屋」が気になった。新型コロナの影響は、こういう田舎の食堂にも及んでいるかもしれないと考えたからだ。
 「なーはー屋」は明治45年の創業。今年で108年という老舗の大衆食堂だ。私も時折足を運ぶが、新型コロナ以前はランチタイムには常に2〜3組の客がいた。コロナ禍の今はどうだろうか。

 訪れてみると、私の心配は杞憂にすぎず、変わらず2〜3組の客がいて、変わらぬ時間が流れていた。やはり地元客中心だと観光の浮き沈みに左右されないのだろうな。などと考えていたが、変わらないと思っていった「なーはー屋」はネットで検索すると大きく変わっていた。
 Google Mapで飲食店を検索すると、その店の口コミ評価が出てくるのだが、人気店にならないと口コミ数は増えないし、評価も増えない。他の店がいかに「インスタ映え」させるかをマーケティングによって考え、仕掛けているのに対し、マーケティングのマの字もなく、お世辞にもお洒落とも、洗練された料理とも言えない「なーはー屋」が51の口コミ。5つ星満点で4・4の星を得ていた。その多くは外国人の評価だった。英語のできる店主、玉城薫さんの人柄と気取らない地元感が、評価されるのだろう。
 薫さんによれば、チャンネル登録者数4万人を超えるロシア人YouTuberマリアの「マリアランド」でも取り上げられ、それを見て来る客もいるし、韓国の沖縄紹介本にも掲載されたりしているらしい。
 108年前から、ずっと変わらぬ大衆食堂ではあるし、メニューも大きくは変わっていない。その「変わらぬ事」そのものが消費者にとっての価値となりマーケティング理論を体現し、大きく変わっているのだ。すごいとしか言いようがない。
 という訳で、マーケティング的にも、これからは田舎の時代となるのだ。やはり。

都市を持て。田舎へ出よう。 第十六歩

左上)店の外観。シャッターが半分閉まっていても営業中なので注意
左下)店内は昭和レトロと南米とスペインのちゃんぷるー
右下)「なーはー屋」のカツ丼。甘めでつゆだくが癖になる

都市を持て。田舎へ出よう。 第十六歩

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