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基礎からわかる相続Q&A SEASON2 File.6 行方不明者を含む遺産分割協議と相続登記

基礎からわかる相続Q&A SEASON2 File.6 行方不明者を含む遺産分割協議と相続登記

週刊かふう2023年6月16日号に掲載された内容です。

 

Q. 最近、姉が亡くなりました。姉の相続人は兄弟姉妹である私と妹、弟ですが、弟は5年ほど前から実家を離れ、全く連絡がとれません。相続登記が義務化されるとのことですが、弟が行方不明でも登記できるのでしょうか。

 私の姉夫婦は、実家の近くに家を購入して住んでいました。姉夫婦には子どもはおらず、2人で暮らしていましたが、病気で夫に先立たれ、その後、姉も病気がちになり昨年亡くなってしまいました。
 私たちの両親はだいぶ前に亡くなっており、姉の相続人は兄弟姉妹である私と妹、弟になると思いますが、弟は5年ほど前から実家を離れ、全く連絡がとれません。姉の葬儀の際にも、弟は姿を見せませんでした。
 姉夫婦の家(遺産)も姉が遺言書を残しているかどうかはわからずそのままにしていましたが、最近、購入したいという方から私に連絡がありました。私も妹も姉夫婦が亡くなってから姉夫婦の家の台風対策など家の管理や手入れをするのが大変でしたので、できれば売却したいと考えていますが、難しいでしょうか。
 また、相続登記が義務化されるとのことですが、弟が行方不明でも登記できるのでしょうか。何か方法はありますか。

A.警察には年間8万件以上の行方不明者届が提出されており、大部分は所在確認ができていますが、中には所在確認がうまくいかないケースもあります。相続人の中に行方不明者がいた場合の対応を見ていきましょう。また、令和6年4月から相続登記義務化の制度が始まりますが、それをふまえて考えられる対応についても紹介します。

 まず、お姉さんが遺言書を残しているかどうかを確認することをお勧めします。
 お姉さんの家の中を探すことや、最寄りの公証人役場で遺言検索システムを利用して公正証書遺言があるかどうかを確認する、法務局で自筆証書遺言が預けられていないかを確認するなどの方法が考えられます。それでお姉さんの遺言書が見つかり、遺言書に家について誰に相続させるかの記載があれば、それを前提に処理すべきことになります。
 お姉さんの遺言書が見つからない場合、相続人は相談者・妹・弟の兄弟姉妹です。
 お姉さんの家を売却するのは、誰がお姉さんの家を相続するかを決めてからとなります。
 お姉さんの家を誰が相続するかについて遺産分割協議で決めることになりますが、遺産分割協議を成立させるためには相続人全員の合意が必要となります。調査を尽くしても弟さんの行方がわからない場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人の申し立て」を行うことが考えられます。不在者財産管理人とは、行方不明者の代わりに財産を管理する人です。弟さんに代わって不在者財産管理人に遺産分割協議に参加してもらうことで、遺産分割協議を成立させることも可能となります。

 また、相談者は相続登記が義務化される関係で心配されています。令和6年4月1日に相続登記の義務化の制度が始まり、それ以前に開始した相続については制度開始後3年以内に相続登記が求められることになりました。
 もし、期間内に遺産分割協議を成立させることができなさそうであれば、「相続人申告登記」を行うことを検討してみるとよいかもしれません。相続人申告登記とは、登記簿上の所有者について相続が開始したことと自らがその相続人であることを申し出る制度で、令和6年4月1日から開始します。通常の相続登記の手続きは相続人全員の戸籍謄本等を集める必要がありますが、相続人申告登記の添付書面は申し出人が相続人であることがわかる戸籍謄本で足ります。この相続人申告登記の申請を行えば、相続登記義務を果たしたとみなされます。

基礎からわかる相続Q&A SEASON2 File.6 行方不明者を含む遺産分割協議と相続登記

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