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新着 不動産相続Q&A File.15 所有不動産記録証明制度の創設

新着 不動産相続Q&A File.15 所有不動産記録証明制度の創設

週刊かふう2023年5月26日号に掲載された内容です。

 

 

所有不動産記録証明制度の創設

令和3年4月に法改正等された所有者不明土地解消に向けた見直しの中で、不動産相続に関する身近な情報を中心に提供します。今回は『所有不動産記録証明制度』について、区長と青年会会長のおしゃべりで解説します。

【青年会会長(以下、青年会)】 最近、友人が「祖父が亡くなって相続財産調査が大変だった」という話をしていました。

【区長】 もしかして、戦後に本島に移住してきた人かな? 土地が複数の市町村にあると相続手続きが大変になるそうだよ。

【青年会】 ほんとに「大変だった」と言っていましたね。預金や株は金融機関や証券会社に照会をすればいいけど、本島内外の市町村に不動産があり、本土にも別荘を建てる予定で原野を購入していたようで、調査が余計に難しくなったと話していました。墓地や畑、原野には固定資産税が課税されていない土地もあったようです。

【区長】 そうなんだよ~、毎年4月頃に市町村から固定資産税納付書が届くが、非課税の不動産を記載しない市町村もあるからね。固定資産税納付書だけを信用して相続登記手続きすると相続登記漏れを発生させる可能性がある。私の知人も道路買収事業で相続登記漏れが判明して、再度相続手続きをしたと言っていたよ。そのようなことを防ぐための改正があったので説明をしよう。

【青年会】 どんな改正があったんですか?

【区長】 現状の不動産登記簿は、土地や建物ごとに登記簿が作成されている。いわゆる物的編成主義。所有者ごとに全国すべての土地や建物の公開する制度(人的編成主義)は存在しないんだ。その結果、相続が発生しても相続財産調査が困難で相続人が把握できない土地建物があって、相続未登記になっている土地建物が少なからずあるそうだ。そこで全国すべての土地や建物を一覧に証明する『所有不動産記録証明書』の交付を受けることができる制度が創設された。

【青年会】 所有者不明土地解消に向けて相続手続きを義務化にしましたが、相続手続きをやりやすく(促進)する改正もしているんですね。生前においては自分の所有する土地や建物を確認して遺言書作成等に活用でき、相続が発生した場合は相続財産調査に利用できるんですね。

【区長】 そのとおりじゃ! 交付(請求)できる人は、生きている時は所有者自身で、死亡した時は相続人等が請求できるようになっている。不動産登記簿のように誰でも請求できるのではないから安心だぞ。

【青年会】 プライバシーについても配慮しているのですね。ところでこの規定はいつから施行になるのですか。

【区長】 前回に説明した住所や氏名変更の登記の義務化と同じで、令和8年4月までに施行されることになっている。

【青年会】 よくわかりました。便利な規定ですが気を付ける点はありませんか。

【区長】 そうだね。施行後に所有不動産記録証明書の交付を受けても登記(簿)記録に記載されている所有権名義人の住所や氏名は過去の一時点のものであり、住所や氏名の変更があっても変更登記をしていない場合は記載されない可能性がある。請求された所有者の住所や氏名に基づきシステム検索した結果を証明するものになるから、網羅性に関しては技術的な限界があるそうだ。旧漢字等(例えば:「與那嶺」「与那嶺」)で登記簿の氏名の表記が入り交じっているケースも注意が必要だな。

【青年会】 住所や氏名変更の登記義務化もこの規定との関連性があるのですね。

【区長】 旧漢字等の文字の不一致があるなら両方で検索する必要が出てくるが、住所や氏名変更を随時変更登記していけばその必要もなくなる。国民の不断の協力によって所有不動産記録証明書の制度が良くなり相続登記漏れの防止につながる。そして相続未登記も減少して地域が良くなり区長も助かるわけだ。かっかっかっか(高笑い)

新着 不動産相続Q&A File.15 所有不動産記録証明制度の創設

<法務省HP「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」より引用>

新着 不動産相続Q&A File.15 所有不動産記録証明制度の創設

司法書士 喜屋武 力(きゃん つとむ)

平成7年度司法書士試験合格
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