あなたの夢を暮らしを応援する
住宅情報紙「週刊かふう」新報住宅ガイド

ウェブマガジン

新着 不動産相続Q&A File.21 遺産分割に関する見直しについて

新着 不動産相続Q&A File.21 遺産分割に関する見直しについて

 

<法務省HP「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」から抜粋>

週刊かふう2023年11月24日号に掲載された内容です。

 

 

遺産分割に関する見直しについて

令和3年4月に法改正等された所有者不明土地解消に向けた見直しの中で、不動産相続に関する身近な情報を中心に提供します。
今回は「遺産分割に関する見直し」について、区長と青年会会長のユンタクで解説します。

【区長】 来年4月から相続登記義務化が施行されるが、本年4月から施行されている改正も多い。今回は既に施行されている遺産分割に関する見直しについてゆんたくしてみよう。

【青年会会長】(以下、青年会) 所有者不明土地の発生原因として相続登記未了が多くを占めていますよね。
ところで相続登記未了の間はどのような状態になるのですか。

【区長】 相続が開始して、相続人が複数名いると相続財産は原則として相続人の共有になるとされている。土地や建物、預貯金は相続人の共有となり、共有者(相続人)の話し合いで決めることになるが、改正により共有物の管理は法定相続分または指定相続分を基準にすることが条文により明文化された。

【青年会】 法定相続分は理解していますけど、指定相続分とはどういう意味ですか。

【区長】 指定相続分とは遺言書で法定相続分と相違する相続分を指定していることをいうが遺言で相続分を指定する方は多くはない。ここで重要なのは具体的相続分である特別受益や寄与分が基準とならないことだ。具体的相続分を確定することは容易ではなく、それを基準にすると共有者間の決定ができないことになる。

【青年会】具体的相続分とは?

【区長】被相続人から生前に贈与を受けた相続人の相続分の減額(特別受益)や被相続人の介護等に貢献した相続人の相続分の増加(寄与分)が主張できることをいう。事実関係の認定が大変で遺産分割が整わない原因にもなっている。

【青年会】 遺言書のないケースでは遺産分割が成立するまでは法定相続分の割合を基に相続人持ち分の過半数の決定で相続財産である土地の管理をしていくことになるのですね。

【区長】そのとおりだ。その他に共有物を使用する共有者がいる場合のルールも改正された。改正法では共有物を使用する共有者がある場合でも、他の共有者は共有者の過半数で管理に関する事項を決定することができる。例えば、相続財産である土地を相続人の1人が使用しているケースにおいて、他の相続人は持ち分の過半数の決定で土地を使用する相続人の同意なく他の共有者に使用させることができることになった。また、共有物を使用する共有者の義務として、他の共有者に対し、自己の共有持ち分を超える使用の対価を償還(支払い)する義務を負うことが明文化された。

【青年会】これまで曖昧な点が条文により整理されたのですね。

【区長】それから一番重要な改正となる、相続開始時から10年を経過すると特別受益や寄与分の具体的相続分の主張ができなくなるという規定が設けられた(具体的相続分に関する遺産分割の時間的制限)。つまり、被相続人から生前に贈与を受けた相続人の相続分の減額や被相続人の介護等に貢献した相続人の相続分の増加を主張できなくなるという制限だ。

【青年会】つまり、特別受益や寄与分を主張する相続人に対して早めの遺産分割を促し、10年が経過すると法定相続分での協議になり円滑な手続きが期待できるということですね。

【区長】 そのとおり、10年が経過すると法定相続分が基準になり分割が容易になる。10年の計算方法だが、施行日(本年4月1日)以降の相続では文字通り相続開始時から10年。改正法施行日前に相続が開始していた場合でも改正法が適用されるが、経過措置により少なくとも5年の猶予期間が定められている。

【青年会】相続手続きがスムーズに進むようさまざまな改正がなされているのですね。改正法前に10年がたっている相続については、施行日から5年経過すると法定相続分での遺産分割になるのですね。そうなると遺産分割協議もスムーズに進みそうですね。

【区長】その場合は3年以内の相続登記義務として相続人申告登記もお忘れなく。

新着 不動産相続Q&A File.21 遺産分割に関する見直しについて

司法書士 喜屋武 力(きゃん つとむ)

平成7年度司法書士試験合格
司法書士法人きゃん事務所 〒901-1304 与那原町字東浜23番地2
Tel:098-882-8177 Fax:098-882-8178

このカテゴリの記事