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基礎からわかる相続Q&A Season5 File.1 「自筆証書遺言書保管制度」と住所や氏名変更について

基礎からわかる相続Q&A Season5 File.1 「自筆証書遺言書保管制度」と住所や氏名変更について

週刊かふう2026年1月23日号に掲載された内容です。

 

Q.
私は、親から引き継いだ土地に住宅を建て、妻とともに長年この家で暮らしてきました。その妻も一昨年に亡くなり、私たちには子どもがいないため、現在は一人で暮らしています。高齢で一人暮らしが難しくなり施設入所を検討中しています。亡き妻の姪に日常の支援を受けており、疎遠な兄弟ではなく姪に自宅を含む財産を相続させたいと考えているいます。どのような準備が必要で、住所変更や姪の改姓時にはどのような手続きが必要になるのでしょうか。

 私は、親から引き継いだ土地に住宅を建て、妻とともに長年この家で暮らしてきました。その妻も一昨年に亡くなり、私たちには子どもがいないため、現在は一人で暮らしています。

 高齢となり体調面に不安が出てきましたが、妻の姪が通院の付き添いなどをしてくれ、何とか生活を続けている状況です。しかし、これ以上自分での生活が厳しくなってきたと感じていますので、施設入所を考え、空きが出るのを待っている状況です。

 私の兄弟とは疎遠なため、私の死後は私の兄弟ではなく、これまで支えてくれた妻の姪に、家を含む私の財産を継いでほしいと考えています。そのために、どのような準備をしておくべきでしょうか。また、私が施設入所により住所変更をした場合や、姪が結婚して姓が変わった場合には、どのような手続きが必要になるのでしょうか。

A.
今回は、遺言書作成の方法のひとつである自筆証書遺言書保管制度と、作成後に住所や氏名が変更となる場合の注意点を見ていきます。

 仮に、現時点で相談者が亡くなった場合、ご両親がすでに他界していれば、法定相続人は相談者の兄弟となります。したがって、兄弟ではなく妻の姪に相続してもらいたいのであれば、遺言書を作成しておくことが考えられます。自宅不動産を含む財産を遺贈する内容の遺言書を作成しておくことで、希望通り姪に財産を相続してもらうことができます。

 ただ、遺言の形式・方式は法的に厳格な定めがあるので注意が必要です。実務では、自分で遺言を書く「自筆証書遺言」と、公証人役場で公証人に作成してもらう「公正証書遺言」が、代表的な方法として使われます。
「公正証書遺言」は、遺言者が公証人の面前で遺言の内容を口授しそれに基づいて公証人が文章にまとめるもので、実務上は、事前に必要書類を準備して公証人役場と打ち合わせが必要になります。

「自筆証書遺言」は、遺言者がその全文と日付および氏名を全て自分で書き、これに押印をしなければなりません。添付する財産目録だけはパソコンで作ってプリントアウトすることもできますが、それ以外は全文自書が必要です。

 この自筆証書遺言を作成した場合、2020年から始まった法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用することが考えられます。
 同制度を利用することで、遺言書の紛失や改ざんなどのリスクを避けることができるほか、遺言者が亡くなった際に、法務局からあらかじめ指定した人への通知がされる「指定者通知」を受けることができます。これは、法務局が戸籍担当部局と連携し、遺言者の死亡を確認したうえで行われるものです。
 
 また、裁判所は、作成された遺言書について、遺言の文言の枠から外れない範囲でできるだけ合理的意思解釈する傾向があるとされています。そのため、遺言書作成後に相談者が施設へ入所し住所が変更となった場合であっても、原則として遺言の効力に影響はないと考えられます。

 もっとも、自筆証書遺言書保管制度では、変更届出書を提出することで、住所や氏名(本件の姪御さんのような受遺者の氏名を含みます)などの変更を届け出ることができます。そのため、遺言書作成後にこれらの事項に変更が生じた場合には、できる限り速やかに法務局へ変更届出書を提出しておくことが望ましいでしょう。

基礎からわかる相続Q&A Season5 File.1 「自筆証書遺言書保管制度」と住所や氏名変更について

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