もっと知りたい!不動産マーケットFile.17 石垣市と宮古島市の不動産市況
コロナ禍の影響が大きく反映した令和3年地価公示。今回は、石垣市と宮古島市の地価動向についてみていきます。
週刊かふう2021年12月3日号に掲載された内容です。
石垣市はリモートワークの普及で移住者増の影響もあり、住宅地は堅調。
商業地は空き店舗の借り手が早めに決まるなど、店舗の賃貸需要も堅調となっている
Case1 地価動向は底堅い傾向
沖縄県から発表された地価調査では、石垣市の住宅地が1.6%の地価上昇、宮古島市の住宅地が5.3%の地価上昇でした。
商業地については石垣市は横ばい、宮古島市は4.6%の地価上昇で、コロナ禍においても地価は上昇傾向にあることがうかがえます。
那覇市などに比べて、新型コロナの影響を受けにくい地域に地価調査の調査地点(基準地)が置かれていることもあり、地価動向は底堅い傾向にあります。
石垣市の住宅地は比較的取引は堅調であるほか、リモートワークの普及により、県外からの移住者も増えているようです。アパートの家賃水準が上昇傾向にあるため、賃貸するなら購入したほうがいいといった地元の方々を中心とした購買層が増加している背景もあり、コロナ禍の影響でも住宅地の価格は落ちません。
宮古島市も住宅地は堅調です。宮古島(県)―8の城辺は22.9%も地価が上昇しており、この地点は昨年も37.3%の上昇とかなりの上昇率ですが、ここではちょっと冷静さが必要です。
確かに地価上昇率は大きいのですが、㎡あたりの価格で比較してみると、昨年の地価調査では㎡あたり4230円で、今年は5200円です。つまり、㎡あたり約1000円しか上がっていません。元々の㎡あたりの単価が小さいので、少しの地価上昇でも変動率は大きくなってしまいます。比較として、例えば那覇(県)-15(若狭2丁目)の地価上昇率は3%でしたが、㎡あたりの価格は6000円も上がっています。地価上昇率も重要な指標ですが、㎡あたりの価格がどれだけ上がったかということも併せて比較しなければなりません。
宮古島市の商業地の地価は、コロナ禍にも関わらず上昇しており、需要の高さがうかがえる
Case2 店舗の賃貸需要は堅調
商業地は石垣市が、令和2年では約11%の上昇でしたが、これは新型コロナ感染症が流行する前の地価上昇が大きく反映されていると考えたほうがいいでしょう。
今年発表された地価調査では石垣市の商業地は±0%で横ばいとなっています。
コロナの影響を受けていると言えますが、店舗の賃貸需要は堅調のようです。営業的には厳しい状況が続いており、撤退した店舗もありますが、これまで空き店舗が少なかったこともあり、空き店舗が出るとすぐに埋まるといった話も聞こえてきます。
今は厳しくても、先を見据えて押さえるという動きがみられるので、商業地の収益性はある程度維持されていると考えられます。
宮古島市の商業地の地価はこのコロナ禍でも上昇しています。それでも、例えば宮古島(県)5-1(平良字西里)は昨年38.9%の上昇でしたが、今年は6.1%の上昇にとどまっています。新型コロナの影響をうけていると言えそうですが、それでも地価は上昇しているのですから、ポテンシャルの高さを感じます。
次回は宮古島市および石垣市以外の離島の不動産市況についてお話します。