不動産売買のタイミング File.19 名護市の不動産売買のタイミング
不動産鑑定士の視点で、県内各地の不動産売買のタイミングについて解説します。今回は、沖縄本島北部地域の中心都市・名護市およびその周辺地域の売買のタイミングについてお話したいと思います。
週刊かふう2023年10月6日号に掲載された内容です。
区画整理地を中心に変動率は上昇
9月に沖縄県が発表した地価調査において、名護市の住宅地で下落している地点はありませんでした。
住宅地の平均変動率はプラス2.5%で、昨年の地価調査ではプラス0.8%でしたから、上昇幅は拡大しています。一番上昇した地点は、宇茂佐の森1丁目にある名護(県)-8で、昨年は㎡あたり4万7200円でしたが、今年は5万100円となり、その上昇率は6.1%でした。やはり土地区画整理事業が実施されている地域の土地需要は堅調であり、資産価値は高いと言えそうです。
一方であまり上昇しなかった地点も存在しています。辺野古にある名護(県)-6は、昨年が㎡あたり1万6200円でしたが、今年は1万6300円で、㎡あたり100円しか上昇しませんでした。上昇率にしますとプラス0.8%ということですからほぼ横ばいともいえるでしょう。
人気エリアを除き売買の時機は不明瞭
さて、平成18年以降の地価動向(沖縄県地価調査)を見てみると名護市の住宅地地価は平成25年まで下落し続け、その翌年の平成26年は横ばいとなったものの平成27年は再び下落し、平成28年以降はわずかな上昇にとどまっています。そこから見ても明確に上昇したといえる時期があまりなく、宇茂佐の森地区を除けば、売ったタイミング・買ったタイミングが良かった時期の判断は難しいですね。この時期はいつ売買してもあまりかわりなかったのではないでしょうか?
では、今住宅を買おうとしている人はどうでしょうか? 平成28年以降の価格トレンドは上昇には違いないのですが、大きな変動がないため、いつ売買してもあまりかわらないかなという印象です。ただし、宇茂佐の森地区だけは別です。ここの需要は堅調ですから、この地区での物件は注目すべきだろうとは思います。しかし、人気が高いのでかなり強気な価格設定も見受けられますから、買う場合には難しい判断になりそうですね。売る場合も同様で、高く売れるとは思いますが、強気の価格設定だと売買成立までに時間がかかるかもしれません。
上昇率に惑わされない注意力が必要!
名護市以外の北部地域で、注目すべきエリアはリゾート地域ですね。眺望が良好で海が近いなどといった地域は地域の住民が購入する価格とは全く異なる取引価格となる傾向にあります。例えば、本部町の瀬底島などがその典型で非常に高い取引が散見されますが、その他の国頭村や大宜味村、東村などの地域はあまり価格変動がありません。
一方で、宜野座村や金武町も地価上昇率が高い地域ですが、気を付けたいのは上昇率が高くても㎡あたりの単価が小さいので金額にすると大きな上昇にはなっていないという点です。宜野座村字漢那にある宜野座(県)-2は上昇率が 13.8%ですが、㎡あたり1700円しか上がっていません。那覇市松尾にある那覇(県)-1の上昇率は2.0%ですが、㎡あたり1万5000円も上がっています。上昇率ばかりに目が行きますが、よく注意しないといけないですね。
さて、次回はいよいよ離島に渡ります。非常に注目度の高いエリア! 宮古島市の売買のタイミングのお話です。