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教えてコンサル金城さん 不動産のギモン解決! 第11回 軍用地の資産活用

教えてコンサル金城さん 不動産のギモン解決! 第11回 軍用地の資産活用

今回は、沖縄特有の軍用地の資産活用事例を取り上げます。

軍用地の資産活用法

 今回は、軍用地を保有するEさんの事例です。Eさんは相談に来られた当初、生活費の大半を軍用地の収入でまかなっている状況でした。そんな中、家族の大きな出費を準備する必要がありましたが、軍用地の賃料収入だけでは足りないので、「軍用地資産を活用し出費を賄う方法はないか」という相談でした。
 Eさんは、軍用地を売らずに、先祖から受け継いだ財産(軍用地)を守りたい気持ちを強く持っていました。
 通常の土地であれば、売らずに土地の有効活用でそこに収益物件を建てるなど工夫することもできますが、米軍施設内にある土地は立ち入ることはもちろん、建築も不可能です。軍用地を売らずに出費のためのお金を準備するための活用方法を考えなければいけませんでした。
 県内で『軍用地』というと、米軍基地のほかに、自衛隊基地、国土交通省が管理している那覇空港用地も含まれます。そのほとんどを国が個人の土地を借地しており、借地料の目安になる土地の1㎡の借地単価は、国と沖縄県軍用地等地主会連合会との間で話し合いが毎年行われ、翌年分の借地料の値上がり分の金額が決まります。不動産投資の利回り(投資の利益)としてはさほど高くないものの、値下がりも少ないとされているので、長期保有の投資先として売買が盛んに行われています。県内の在沖縄米軍施設の軍用地主は、4万6600人(令和3年3月末時点)と言われています。

コンサルからの提案

 話し合いを重ねていくと、Eさんが先祖から受け継いだ土地、基地の中にあっても大切な土地をどう守っていけばいいのか不安に思っていること、また実家の建て替えも検討していることが分かりました。そこで、軍用地を売った場合と売らずに保有した場合のメリット・デメリットを表にして、可視化することで考えと気持ちを整理することができました。       
 私からの提案として①軍用地を分割して、その一部を売却し現金化する ②古くなった実家を賃貸併用住宅に建て替えることを挙げました。そうすることで、家族の必要資金や実家建て替えの頭金も準備できました。
また、相談前の収入と現在を比較すると、実家を建て替えたことによる賃貸収入が軍用地賃料よりも上回り生活の改善にもつながりました。
 軍用地の資産活用方法は、それぞれ異なります。資産を大切に扱うことができるよう、不動産コンサルマスターなど専門家に相談してみてください。

 次回は、「今年の不動産相談を振り返って」についてお話します。

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