沖縄ガスが全国に示した「乾太くん」普及プロジェクト
ガスのパワフル乾燥でたくさんの洗濯物をふんわりフカフカに仕上げ家事の
負担も軽減。リンナイが提唱する「ホームランドリー化計画」
— リンナイのガス乾燥機「乾太くん」がここ最近、大ブレークし話題になっています。
ガスの火力を生かしたスピードと経済性が特長の「乾太くん」でしたが、排湿管の設置がネックとされ発売から販売が低迷。一時は隠れた名品とも揶揄されましたが、沖縄での好調な販売をきっかけに一転、ヒット商品へ。ちなみに２０２０年度の県内出荷台数は10727台を記録し、普及率も累計で20％を超えました。（リンナイより）
成功には理由とドラマがあるものですが、その瞬間を「プロジェクX ～挑戦者たち～」（NHK）風にナレーションすると「そのときだった。一人の男が発言した。営業開発部の宮國宏樹だった。宮國は言った。『乾太くんを売り出しましょう』皆、深く頷いた」といったところでしょうか。
全国のモデルとなった沖縄ガスの挑戦を、「思いはかなう」でプロジェクトを担った営業開発部営業開発課の宮國宏樹さんと同部サービス課の金城裕樹さんの２人に伺いました。
― 「乾太くん」が沖縄で受け入れられた理由はどのへんでしょうか？
宮國宏樹― やはり気候が１番だったと考えます。一年を通じて湿度が高く、年降水量も２０００ミリを超える国内で唯一の亜熱帯気候に塩分を多く含んだ潮風や強すぎる直射日光と外干しにはよくない環境がそろいます。加えて、最近では黄砂やPM2・5など大気汚染が気になる日も多くなってきましたから、ますます「乾太くん」の活躍の場が増えてきました。
金城裕樹― 大家族や共働きが多い沖縄の家庭事情も要因ですね。家庭を担う主婦にとって家事の時短は大きなポイント。大物の洗濯も天気を気にせず、思い立ったときにすぐに干せる「乾太くん」は最高のお助けツール。ガスの力でスピード乾燥に加えウイルスの除去にも効果がありますから、一度使うと手放せない快適さと心地よさが口コミで広まったと思います。
インパクトあるCMやメディア戦略も成功の一因。秀太くんと浩太くん（社員）を
起用したＣＭで「乾太くん」の『お得でガス』『いいんでガス』が一気に広まった
― 主力商品として売り出すに至った経緯について教えてください。
宮國― これまでもガス乾燥機をおすすめしていましたが、積極的に動き出したのは約20年前の「ガスまつり」（毎年秋に開催する展示会）からです。今でこそメーカーさまでも「ホームランドリー化計画」をうたいガス乾燥機を積極的に売り出していますが、当時はさほど注目されていた印象はなかったですね。
金城― １９９２年に発売され、「乾太くん」の商品名で30年近い歴史を持ちますが、家庭への普及は今一つ。他メーカーでもガス乾燥機を生産していましたが需要が伸び悩み撤退。最終的にはリンナイの「乾太くん」だけになっていましたから、セールス的には難しい商品だったと思います。
宮國― それでも絶対ヒットする確信がありました。メーカーさまからの助言や後押しもあって「ガスまつり」でブース出展。社を挙げての展開を決めました。
金城― 盛況でしたね。翌月には弊社会議室で、建築会社さま、設計士さま、不動産業者さまを招いて勉強会を開催しましたから、その反響の大きさが分かるかと思います。
ーさまざまな課題の中で、特に苦労した点を教えてください。
宮國― ガス衣類乾燥機を室内に設置する場合では、排気（衣類の湿気を含んだ温風）を必ず室外に排出する必要があります。このため、排湿のためのパイプを通す場所が必要になり、その設置が普及のポイントと考えました。
金城― 新築の物件なら設計段階で排気のスペースを取ることができますが、私は既存住宅の担当でしたから、個々の住宅で取り付け位置や高さの対応が必要になってきます。リフォームしてまで設置する必要はないと諦める方も多く、やむなく外置きにしたりと苦労の連続でした。
宮國― 勉強会もそのためです。当初は建築業者さま、建築士さまの参加が主でしたが、回を重ねるごとに不動産の管理会社さまやオーナーさまの参加や問い合わせも多くなってきました。
金城― 他業種と連携できたことも普及につながったと思います。自分たちだけでは解決できないことも皆で知恵を出し合えばなんとかなった。
宮國― 今でこそガス乾燥機が入居の条件になってきましたが、その背景には多くの方々の協力があったと感じます。
「靴の乾燥もできます」と「乾太くん」の上手な使い方を説明する
宮國課長（左）と金城課長
― 今後の抱負をお聞かせください。
宮國― お客さまからの熱いエールや要望もあってオール電化住宅でも契約料金はそのままで使うことが可能となりました。ますます需要は高まりますが、その分私たちの使命と責任もさらに重要になってきます。
金城―取り巻く状況の変化に伴い「乾太くん」も日々進化してきましたから、私たちも開発課とは違った目線で協力できたらと考えています。例えば、「こんなのあったらいいな～」「こんな使い方したいな～」と言った、個人のライフスタイルに合った設置や使い方を可能にしたり。ちょっとしたことでも営業担当がご相談に応じますので、お気軽にお声掛けください。
２人―「乾太くん」の経験を生かし、お客さまに喜ばれる仕事を心掛けたいですね。
- 名称
- 沖縄ガス株式会社 ショールーム ゆ～くる
- 営業時間
- 10:00～17:00
- 住所
- 那覇市西3-13-2
- TEL
- 098-863-7750
- ホームページ
- https://www.okinawagas.co.jp
